議会報告
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神奈川県議会
2006-12-21UP
神奈川県議会12月定例会
一般質問質疑概要

 県議会12月定例会で(2006年)12月12日に行いました一般質問質疑につきまして、しきだ事務所でまとめました。
なお、本掲載資料は、公式な議事録ではありませんので予め御容赦下さい。
また、動画(こちらから・・・)でもご覧頂けます。


 質問項目
  @県立ホール系文化施設における「トイレ」のあり方について
  A遺伝子組換え農作物について
  B暴力団犯罪について
  C交通死亡事故に関する医療面での調査・研究について
  D障害者週間の県民への周知について
  E自殺対策について
  F命を大切にする心の教育について


@県立ホール系文化施設における「トイレ」のあり方について

しきだ博昭

 県では、平成21年度中のオープンを目標に、山下町県有地に県立新ホールを整備することとし、現在、実施設計が進められております。昨年6月に議会報告された「県立新ホールの整備方針」によりますと、神奈川発の舞台芸術を、創造・発信することを目的とし、「優れた作品の提供などにより、多くのお客様を集め、地域の賑わいの創出に貢献する」ことを目指していると聞いています。
 確かに、神奈川県内には、舞台芸術の専門劇場が少なく、人気の演目は、ほとんど東京まで観に行かなければならないという現状でありますから、多くの県民の皆様にご来場いただける施設が横浜にできることを、私も大いに期待しています。
 一般的に、ミュージカル、オペラ、バレエなどを鑑賞する観客層の大半は女性が占める傾向があると聞いています。こうした女性客をいかに惹き付けるかが、県立新ホール成功の鍵であるとも言えます。もちろん、質の高い優れた文化芸術の鑑賞機会の提供が基本にありますが、多くの女性に足を運んでいただくには、ホールそのものが「女性にとって快適な空間」である必要が少なからずあるものと思います。具体的に申し上げますと、今後は、コンサートやミュージカルなどが開催される県立ホール系文化施設においては、「トイレのあり方」とりわけ「女性用トイレの充実」が、集客に大きく影響するといった点を謙虚に受け止める必要があると思います。集客を目指す施設として成功するには、「まずトイレに配慮せよ」ということを、私は、敢えて申し上げたいと思います。
 ここで、唐突ではありますが、トイレの重要性を反映した川柳を2,3披露いたします。
 トイレメーカーが行っている「トイレ川柳」の入選作です。
  「気が利いた トイレで上がる 店の株」
  「トイレ見て 店の良し悪し 母論じ」
  「愛想より トイレきれいで 客が増え」
 言い得て妙であり、やはり、トイレの状況は施設の評判に大きく影響するということであります。
 私は、公共の集客施設の多くにも同じことが言えると考えます。例えば、コンサートや演劇などを鑑賞する際、観客、特に女性にとっては、トイレの数が少ない劇場の場合、幕間の短い休憩時間では、トイレを済ませることができず、落ち着いて鑑賞することができないといった問題が、かねてより指摘されています。
 私は、県立新ホールの設置には、女性客をいかにして惹き付けるかが、大きなポイントになると考えます。女性にとって、十分な広さ、十分な数、清潔で使い勝手の良いトイレが求められており、こうした要請に応えていくことがリピーターを増やし、その結果、収入増加に繋がり、新ホールも成功を納めるものと思うのであります。

◆そこで、県立新ホールについて、女性に喜ばれ親しまれるホールとするために、アメニティ対策として、質・量ともに十分な「女性用トイレ」を確保する必要があると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 また、既存のホール系文化施設についても、音楽堂が築後50年、県民ホールが30年を経過した古い施設であります。そのため、現在のトイレは必ずしも女性客の要望を満たすものとはなっていないのが現状であります。音楽堂や県民ホールについても、できるだけ早期にトイレの量的・質的な向上を目的とした改修工事を行うべきであると考えますが、併せて、知事のご所見をお伺いいたします。


知事答弁
 ホールのトイレにつきましては、これまで県民ホールや音楽堂で実施した「お客様アンケート」などで、女性のお客様から「トイレを充実してほしい」という大変多くの要望や苦情をいただいており、私どもも、その重要性を痛感しております。
 また、県立新ホール構想の検討委員会においても劇場運営の専門家から、人気のあるホールにするには快適性を高めることが重要であり、特に、ミュージカルや演劇を上演するホールでは、「女性トイレの充実は最も大切な課題の一つである」との意見をいただいております。
 そこで、お尋ねの新ホールにつきましては、十分な質・量の女性トイレを確保することを、施設の基本コンセプトの一つに据えて設計を進めているところでございます。
 具体的には、建築学会が定める設置基準の 1.5倍以上の数を確保するとともに、洗面台の数やトイレ全体の内装にも配慮するなど、女性のお客様が安心して気持ちよく利用できるトイレを整備することとしております。
 次に、県民ホールと音楽堂についてでございます。
 いずれも数十年前に建築された施設であることから、トイレについては、和式から洋式への転換などの小規模改修を進め、催し物に応じて男性トイレを女性用に転用するなど運用上の工夫も行っております。
こうしたきめ細かい対応はしておりますが、女性トイレの絶対数が不足しているのが現状でございます。
 そこで、できるだけ早期に改善してまいりたいと思っておりますが、トイレの増設は工事規模が大きく、休館を伴いますので、今後、予定している音楽堂の耐震工事や県民ホール全体の再整備工事に併せて実施してまいりたいと考えております。


A遺伝子組換え農作物について

しきだ博昭
 現在の世界を見渡しますと、豊かな先進国には、有り余るほどの食糧が供給されている一方で、後進国には十分な食糧が行き渡らず、飢餓にあえいでいるといった現状があります。気象の変化による農地の荒廃化も進む中で、食糧の供給は危機的な状況になることが想定されており、今後、必要な食糧を効率的に生産することは、大変重要な課題であります。
 特に、自然環境の中で、食糧生産を効率的に行うためには、人手のかかる栽培管理作業を如何に省力化するかが、重要であります。各国においては、その一つの技術として農作物の遺伝子を操作し、生産コストの低い農作物の開発を行っています。
 例えば、多くの国で生産されている大豆ですが、生育段階で何度も雑草の防除を行わなければならず、管理機械を使って作業を行っても、相当な経費がかかります。
 そこで、これらの作業を軽減するため、除草剤に強い大豆が、遺伝子組み換え技術で作り出されています。米国では、すでに大豆生産の実に9割で遺伝子組換えが実用化されておりますが、依然として、消費者の中には、長期に渡って摂取した場合の安全性などに、多く不安をもっていることも事実であります。
 我が国の遺伝子組換え農作物の栽培については、平成16年2月に「遺伝子組み換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」、いわゆる「カルタへナ法」が制定され、遺伝子組換え農作物を実験室や開放系で一般的に栽培する上での取扱いが明確にされたところであります。
 しかしながら、遺伝子組換え農作物は、生態系への影響、遺伝子組換え種子が意図しないうちに混入してしまうなど、消費者や生産者は、未だ、その安全性に不安を抱いており、「カルタヘナ法」では、こうした人々の不安に対して、十分に応えていないのが現状であります。
 ある県では、遺伝子組換え大豆が一般の畑で栽培されたことを周辺の住民が知ったことから、これに不安を感じた住民の反対により、生育途中で生産中止に追い込まれたとも聞いております。
 我が国においても、国民の遺伝子組換え農作物に対する不安が解消されず、それどころか、さらに高まる中、北海道をはじめ10都道府県で遺伝子組換え農作物の栽培を規制する条例や指針などが、このところ相次いで制定されていると承知しています。
 本県においても、平塚市にある研究機関で平成15年に遺伝子組換え稲の屋外栽培を行おうとした経緯がありましたが、実施には至りませんでした。県民の身近で実際に栽培が行われることに対しては、川崎市をはじめ県内9市町議会からも遺伝子組換え農作物の規制について、県に対し意見書が提出されています。遺伝子組換え農作物に対する不安は、このようなところにも明確に表れています。

◆そこで、知事にお伺いいたします。
 本県においても、遺伝子組換え農作物の交雑や混入を防止し、県内産農産物の信頼性を確保するとともに、県民の不安を解消するために、一般の田畑における栽培にあたって、何らかの規制措置が必要であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

知事答弁
 遺伝子組換え農作物には、特定の除草剤の作用をブロックする除草剤耐性を有する農作物や、特定の害虫に対して抵抗性を持つ農作物などがございます。
 除草剤耐性の組換え農作物では、特定の除草剤を使用することで、組換え農作物以外の雑草を全て枯らすことができ、大幅な除草作業の省力化が可能となります。
 また、害虫抵抗性の組換え農作物では、害虫防除に必要な農薬散布の労力が省力化できますし、農薬の経費節減も可能となります。
 このように遺伝子組換え技術は、農業生産の効率の面では、有用な技術であると認識しております。
 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」、いわゆるカルタヘナ法では、平成18年9月現在、一般の田畑で栽培が可能な農作物として、特定の除草剤に耐性を持つダイズやナタネ、害虫に抵抗性を持つトウモロコシなど、5作物で32件が承認されております。
 これらの農作物は、カルタヘナ法に基づき、生物多様性の影響が生ずるおそれがないものとして、 環境大臣や農林水産大臣が承認しているほか、これらのうち食用作物については、食品衛生法に基づく食品としての安全性審査が、国により行われ、その安全性が確認されております。
 しかしながら、遺伝子組換えが行われた農作物については、消費者の皆さんの中には、その安全性に不安を持っている方々もおられますし、県内の市町の議会や、消費者団体の皆さんからも栽培規制についての意見書、要望書をいただいているところでございます。
 このような状況もございますので、本県での遺伝子組換え農作物の栽培規制につきましては、全国の動向や本県の実情を踏まえ、その必要性も含めて、今後、検討してまいりたいと考えております。


B暴力団犯罪について

しきだ博昭
 県警察では、昨年4月に暴力団や来日外国人組織による犯罪といった、いわゆる組織犯罪に効果的に対処するために、警察組織を改編して組織犯罪対策本部を設置し、犯罪組織の弱体化・壊滅に向けた取締り活動を強化したところであります。
 組織犯罪対策部門は、現在、県警察が総力を挙げて取り組んでいる歓楽街対策の中においても重要な一翼を担い、プロジェクト体制による犯罪組織の壊滅に向けた各種施策に積極的に取り組んでいると聞いております。
 また、今年の暴力団犯罪の検挙件数や薬物、けん銃事犯及び来日外国人犯罪の検挙人員など、いずれも昨年と比較して増加傾向にあるなど組織改編の効果が現れていることも承知しています。
 しかし一方で、これら犯罪組織の中でも特に暴力団については、その資金源が、競輪、競馬、競艇のノミ行為、賭博、薬物密売、風俗営業店等からの用心棒料などといった、以前からある資金源活動に加え、最近では、外見的には、一般企業になりすましての金融業、産業廃棄物処理業、建設業等の事業活動への参入など、資金源活動の多様化や不透明化の傾向にあるとマスコミ等でも報道されているところであります。こうした報道等をみても、県内においても暴力団がいたるところで暗躍していることは容易に想像がつくところであり、たいへん憂慮すべき問題であると考えます。
 全国的な暴力団情勢としては、山口組が勢力を拡大しながら、関東圏への進出を加速させていると聞いており、その構成員の数は、平成17年末現在で全暴力団構成員のほぼ半数を占めるなど、山口組の一極集中化が進んでいると聞いております。
 さらに、本県において活発に活動しているといわれている稲川会については、分裂騒ぎがあったとのことであり、今は新体制になり、落ち着いてはいるものの、まだ内部には火種を抱えているのではないかとも言われています。
 幸いなことに、今年に入ってから、全国的に暴力団同士による対立抗争の発生はないと聞いてはおりますが、過去に、暴力団は一般市民を巻き添えにした発砲事件を幾多となく引き起こし、尊い命が犠牲になったことは周知のとおりであり、その点においても暴力団の存在は、我々県民にとって、相変わらず大きな不安材料の一つとなっております。
 我々県民が、暴力団から被害を受けないための第一歩としては、「怖がらない」「金を出さない」「利用しない」と、かねてより言われているところでありますが、突然、暴力団から不当な要求を受けたとき、これに1人で対処することについては限界があり、やはり警察を頼りに、警察に相談して協力を求めることによって、はじめて民事介入暴力などに対処出来るのではないかと思うのであります。
 こうした中、県警察が暴力団の壊滅に向けて積極的な活動を展開されている姿を拝見し、大変心強く感じているところであります。
 県民としては、県警察のこのような活動の取り組みを、今後、更に強化していただくことを期待するところであります。 

◆そこで、警察本部長にお伺いいたします。
 本県の暴力団情勢及び県民に不安を与えるこれら暴力団犯罪に的確に対処するための県警察の取り組みについてお伺いいたします。


警察本部長答弁
 はじめに、「県内の暴力団情勢について」でございますが、本年1月の資料で県内の暴力団は、114団体、約3、600人を把握をしております。
 このうちの約72パーセントが稲川会、次いで、約16パーセントが山口組と、この2つの組織で県内勢力の9割近くを占めている状況であります。
次に検挙状況でありますが、本年の11月末までの検挙状況は、4,090件、1,819人と、件数は大幅に増加し、人員は昨年の同期とほぼ同レベルで推移しているところであります。
 このうち、稲川会が1,272人で総検挙人員の約70パーセントを占め、次いで山口組が234人で約13パーセント、この2団体で全体のおよそ8割を占め、検挙状況から見ましても、県内における両団体の影響力の大きさが見てとれるわけであります。
 次に、「暴力団犯罪に対する県警察の取組み」についてでございますが、県警察では、昨年4月、悪質巧妙化する暴力団をはじめとした犯罪組織に的確に対処するため、刑事部内に「組織犯罪対策本部」を立ち上げました。
 この組織改編によって、情報の共有化、捜査指揮の一元化等が図られ、従来にも増して警察組織が一体となった暴力団対策を強力に推進しているところであります。
 また、県警察では本年を「名実ともに治安回復を実感できる年」と位置づけ、4月から総力をあげて「歓楽街総合対策」を推進しているところでありますが、歓楽街の利権に群がる暴力団の資金源を遮断し、事務所設置の阻止及び退去を図るため、歓楽街対策と連動した暴力団対策を重点的に推進をしております。
本年の10月30日には、横須賀市内の賃貸マンションを目的を偽って契約、そこを組事務所として不正使用していた暴力団組長を検挙して、これを撤去させ、また、11月29日には、横浜市中区のゲーム店をバカラ賭博事件で摘発するなど、暴力団に対して直接打撃を与える取締りを強力に推進しているところであります。
 以上申し上げましたとおり、県警察は、暴力団対策を正に「組織」対「組織」の対決ととらえ、反社会的勢力にはしっかり対峙をし、これを粉砕するというゆるぎない信念を持って取り組んでいるところであります。
 今後も県民の安全と平穏を確保し、暴力団のない地域社会を実現するため、県民の皆さまとの連携・協働など、協力をいただきながら、暴力団に対する取締りや排除活動を始めとした、暴力団の壊滅に向けた諸対策を強力に推進してまいる所存でございます。


C交通死亡事故に関する医療面での調査・研究について

しきだ博昭
 本県における交通事故による死亡者数は、昭和45年の803人をピークとして、その後は逓減しており、直近の平成17年においては252人と、ピーク時の3分の1以下にまで減少してきております。
 これは、警察本部や知事部局において、ハード・ソフト両面での各種の交通事故対策の効果が現れてきているものであり、交通事故対策については、これまで「交通指導や取締り」「交通安全教育」そして「道路交通環境」の3本柱で進めてきた成果と評価しています。
 しかしながら、依然として多数の交通事故による死亡者がいることも事実であり、こうした状況を真正面から受け止め、交通事故の抑止や減少に、さらに努力すべきであると考えます。
 そうした中、先ごろの新聞記事にありましたが、千葉県交通事故調査委員会において、交通事故に関する調査を実施し、内容を分析したところ、交通事故死亡者の7人に1人は、事故後の適切な治療や搬送が行われていたならば、命を救えた可能性があるとの驚くべき調査結果が出ています。
 この委員会でまとめた報告書によれば、交通事故による死者数を減少させ、後遺症を軽減させるためには、先の3つの取り組みに加え、「外傷診療体制の整備」が必要であるとしています。
 一方で、残念なことに交通事故で、脳などに重い後遺症を負い、自宅で介護を受ける被害者をショートステイさせるため、国土交通省が平成13年度から全国で整備を進めている「短期入所協力病院」では、同省から指定を受けた32施設のうち、本県内病院を含む、半数以上の18施設で被害者の受け入れ実績がないことが新聞社の調べで分かっています。
 家族の負担軽減策として、交通事故対策の柱と位置づけ、各都道府県に1施設設けることを目標としてきた、被害者のための制度が、十分に生かされていないこうした実態は、制度の周知不足が原因とみられており、私は、被害者家族への情報提供の徹底が急務と考えます。
 私は、17年2月定例会において、交通事故などにより、脳に障害が残り、意識が戻らないまま寝たきり状態となる遷延性意識障害の方への支援策について、知事に質問をしたところ、「市町村と連携して、福祉・医療分野の専門性の高い人材育成、障害者ご本人とご家族のニーズに応じた相談の実施など、サービス支援体制の充実に取り組む」との答弁をいただきました。
 私は、交通事故対策としては、まずは、事故を未然に防止すること、次に、万が一、交通事故が発生してしまった時には、一人でも多くの被害者の命を救うこと、そして、重い障害が残ってしまった方々については、福祉・医療の両面のサービスはもとより、ご家族の暮らしを支えていくことが、とても大切であると考えます。

◆そこで、知事にお伺いいたします。
 私は、交通事故から、一人でも多くの県民の命を守るためには、千葉県のように交通事故死亡に関する医療面での課題を抽出し、課題解決への方策を明らかにすることが、たいへん重要であると受け止めています。このような調査・研究を是非とも実施すべきであると考えておりますが、県では、調査・研究の必要性について、どのように考えているのでしょうか。
 また、交通事故に関する調査・研究による分析結果を活用して、交通事故を含めた、県内の救急医療体制の充実を図っていくことも重要であると考えますが、救急医療体制の充実について、併せて知事のご所見をお伺いいたします。


知事答弁
 本県では、県民誰もが適切な医療を受けられるよう、救命救急センターをはじめとする救急医療体制を整備してまいりました。
 とりわけ交通事故で亡くなる方は、複数箇所に重度の外傷を負っている場合が多く、そうした多発外傷の患者は、「県民の救急医療の最後の砦」として高度専門医療を担っている救命救急センターに搬送され、治療が行われます。
 本県では、現在11の救命救急センターを指定しておりますが、平成17年までに指定した8施設において受け入れた重症患者数を見ますと、平成17年は7,472人で、そのうち交通事故を含め多発外傷による患者数は722人と全体の9.7%を占めております。
 救命救急センターにおける、こうした患者の実態把握のみならず、交通事故を含め、一人でも多くの患者の命を救うためには、診療の質の向上に向けた調 査・研究を行うことが重要であり、診療水準や診療の質に係る評価指標を明らかにすることが課題となっております。
 そうした中で、国においては、平成11年度から主に診療体制面からの調査を行っているほか、日本救急医学会及び日本外傷学会では、平成15年に「外傷データバンク」を構築するなど、外傷診療に係るデータの集積や分析に取り組み始めたところであります。
 本県では、これまで医療関係者を中心とした神奈川県救急医療問題調査会において、救命救急センターの運用状況をはじめ救急医療対策に係る諸問題について調査審議してまいりました。
 今後は、この調査会の専門部会である三次救急部会において、国や学会の動向も踏まえて、救命救急センターにおける診療の質の更なる向上に向けた調査の手法、評価指標等について、専門的な見地からご検討をいただき、本県の救急医療体制の充実に生かしてまいりたいと考えております。


D障害者週間の県民への周知について

しきだ博昭
 去る、12月9日は「障害者の日」でありました。昭和50年12月9日に、国連において「障害者は、その障害の原因、特質及びその程度にかかわらず、市民と同様の権利を有する」という『障害者権利宣言』が採択されたことを受け、平成5年12月3日に公布された障害者基本法に、12月9日を「障害者の日」とすることが明記されました。その後、平成16年6月の同法の改正で12月3日から9日までの一週間を「障害者週間」とし、障害者自らの自立と社会参加への意欲を高めるとともに、国民の障害者問題に対する理解と認識をより一層高めるための運動を展開する期間とされています。
 ご承知のとおり、本年4月には、障害者自立支援法が施行されたことをはじめ、障害者を取り巻く環境は大きな変革期を迎えています。
 県が、障害者の地域生活のあるべき姿を示した「かながわの障害福祉グランドデザイン」でも謳っているように、障害者が地域で自分らしく、安心して暮らすことができるような地域社会を実現し、障害者施策を実効性あるものにしていくためには、広く県民の方々に、障害あるいは障害者に対する理解を深めていただき、協力を求めていくことが大変重要であると考えます。
 しかしながら、このように大切な「障害者の日」ならびに「障害者週間」は、あまり県民の間に浸透しているとは言えないのが現状であります。
 私は、もっともっと、この運動が広く県民に周知されるべきと考えます。

◆そこで、知事にお伺いいたします。
 障害の有無にかかわらず、すべての人が、住み慣れた地域で安心して暮らすことのできる「ともに生きる福祉社会かながわ」の実現を図るため、県は、障害者への理解の醸成に向けて、力を入れて取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。


知事答弁
 障害者週間は、議員のお話にありましたように、平成16年6月の障害者基本法の改正により、国際障害者デーであり、障害者基本法の公布日でもある12月3日から9日までの1週間と定められました。また、同時に、基本的な理念に、障害を理由とした差別を禁止する旨が明記されました。
 障害者の理解には、日常的な普及啓発の努力が重要であることはもちろんですが、特にこの週間では、国民の間に広く障害福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めることが重要と認識しております。
 こうしたことから、毎年、市町村を中心に、様々なイベントやキャンペーンなどの取組みが行われるとともに、県でも「県のたより」による広報や、県庁内での「障害者週間」のポスターの展示、障害者手作り品展示即売会の実施、職員啓発用リーフレットの配布などを行っております。
 障害福祉施策は、「措置」から「支援費制度」へ、そして今年4月に施行された「障害者自立支援法」へと大きく変わってきているなど、国では、障害福祉の方向性について模索しているところであります。
 また、障害者基本法に規定される「障害者差別禁止」や、国連での障害者の権利と尊厳を推進する「障害者の権利条約」の議論などを踏まえますと、障害者だけでなくすべての人が暮らしやすい社会づくりに取り組むことが、より意義があるものと考
えております。
 本県では、一人ひとりの人権が尊重される地域社会の構築を目指して、障害者、関係者、市町村とともに、「ひとりひとりを大切にする」ことを基本的な考え方として、障害福祉のあるべき姿を示した「かながわの障害福祉グランドデザイン」を踏まえて、障害福祉計画を策定してまいりたいと考えております。
 今後、障害者の地域生活移行が進むうえで、県民の皆様の障害及び障害者に対する正しい理解が、一層重要となってまいりますので、障害者週間を一つの契機といたしまして、「誰にとっても暮らしやすい神奈川」の実現に向けた普及啓発に積極的に取り組んでまいります。


E自殺対策について

しきだ博昭
 我が国における自殺者数は、平成10年に3万人を超えて以来、8年連続して高い水準で推移しており、本県においても、平成17年における人口10万人当たりの自殺率は、全国で一番低い状況にあるものの、自殺者数は全国で3番目に多く、1,705人となっております。
 この数字は、さまざまな苦悩を抱える中で、もがき苦しみ、精神的に追いつめられ、生きる望みと気力を失い、自ら命を絶とうとしている人たちが、今、この瞬間も大勢いることを示しています。
 自殺者がいっこうに減らない状況の中、国は、本年6月に自殺対策基本法を制定し、10月から施行しています。この自殺対策基本法では、地方公共団体が取り組むべき様々な施策について規定していることから、県としても、これまで以上に、自殺対策に取り組んでいく必要があると考えます。
 さらに、今後、自殺対策を一層推進するに当たっては、自殺の背景に、健康問題のほか、経済・生活問題、家庭問題、職場の問題、学校の問題など、様々な社会的要因が関係していることを十分認識する必要もあります。
 県でも、このような認識に立ち、自殺対策に関係する庁内各課が連携して、効果的な自殺対策を実施するため、庁内組織を今年度内に設置する予定であるとお聞きしております。
 しかし、自殺の背景には様々な社会的要因があることを考えますと、私は、今後、国や市町村などの公的機関、医療機関、ボランティア団体などの、様々な外部の機関・団体と連携しての施策展開が、是非とも必要であると考えます。

◆そこで、知事にお伺いいたします。
 県は、これまで、自殺対策として、どのような取り組みをしてきたのか。また、今後、自殺対策を協議し、連携するため、外部の機関・団体と県とで構成する協議機関を設置すべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。


知事答弁
 県といたしましても、自殺対策は大変重要な課題と受け止め、従来から、うつ病などに対する「こころの健康づくり」に取り組んでまいりました。
 また、今年度からは、これまでの取組みをさらに発展させ、「こころといのちのサポート事業」として、自殺予防に正面から取り組むこととし、県民に対する講演会や相談機関の関係者に対して研修を行うなど、その普及・啓発に努めているところでございます。
 また、中学校や県立高校にスクールカウンセラーを配置して、生徒などを対象にした「こころの悩みの相談」を実施して、PTAに配布しているハンドブックの中で、命の大切さについても触れております。
 また、労働者の方への対策として、直接、相談を受ける「働く人のメンタルヘルス相談」や、事業主などを対象とした「職場のメンタルヘルス対策講演会」などを実施しているところでございます。
 このように、直接的に、また間接的に自殺予防に取り組んでまいりましたが、今後は、「自殺予防」だけではなく、自殺未遂者が再び自殺をしないための働きかけや遺族ケアなどを含めた「自殺対策」として取り組んでまいりたいと考えております。
 また、議員ご指摘のとおり、自殺の背景には、健康面だけではなく、経済・生活、職場、教育の問題など様々な社会的要因が複雑に関係していることから、その対策については、多角的な面からの検討が必要であると考えております。
 そこで、自殺対策に関連する庁内の関係部局が横断的に集まり、協議・連携していくため、今年度中に庁内組織を設置することし、準備会を既に2回開催をしております。
 また、庁内体制を整えると共に、国や市町村などの公的機関、医療機関、法律関係者、ボランティア団体など、様々な外部の機関や団体が連携して、自殺対策に取り組む必要があると考えます。
 そこで、総合的な自殺対策を展開するため、来年度中に、様々な機関・団体と県とで構成される協議機関を設置する方向で、検討を進めてまいりたいと考えております。


F命を大切にする心の教育について

しきだ博昭
 最近、小さな子どもの尊い命が無惨にも奪われる事件や事故が相次いでいます。さらには、いじめが原因で児童・生徒が自らその命を絶つという、本当に痛ましい事件が連続して発生していることにも、大変心を痛めているところであります。次代を担う児童・生徒が、自らの命を絶つということは、理由の如何を問わず、決してあってはならないことであります。「子どもは、社会を映し出す鏡」と言われますが、私たちが築いてきた社会が、こうした悲しい事件を生み出してしまった現実を、真剣に受け止めるとともに、私たちすべての大人が、深い反省に立ち、また、問題意識を共有し、責任を分かち合いながら、全力でこの問題に立ち向かっていかなければならない状況にあると、強く感じる毎日であります。
 こうした状況の背景には、都市化や少子化の進展、社会環境や家庭環境の変化の中で、子どもたちが命にかかわる場面や、自然の中で動物や植物などと直接ふれあう機会が減少するなど、日常生活の中で、生きとし生けるものの命を手にとってみつめるといった、命あるものを身近に感じることが少なくなってきていることによるものと考えられます。
 暮らしの中で、身近に高齢者と共に育った子どもたちは、自分の体にも、老いることや死といったことが避けがたいものであることを理解し、生きていることの重さや尊さを知らされてきたのではないでしょうか。また、高齢者との時間を共にすることによって、その様々な体験や生き様に接し、人生の意味や生きていくことの意味を学んできたのではないでしょうか。
 さらに、命のつながりについて申し上げますと、私たちには、それぞれ両親がいて、当然、その両親にも、両親がいます。こうして、25代さかのぼると、実に先祖の数は、3千3百55万4千4百32人にものぼります。大変な数の先祖の喜びや悲しみ、苦難、その他さまざまな精神的、肉体的経験が、私たち一人ひとりの血液の中に流れています。連綿と命が継承され、今あることの尊さに思いを巡らせ、私たち、大人一人ひとりも命の重みについて、真正面から見つめていく必要があるのではないかと感じています。
 現在は、情報化の進展により、特に、最近はゲーム機を中心とした遊びが増え、仮想現実の世界に入り込んで、子どもたちの現実感覚が麻痺するなど、「人間は死んでも生き返る」と思っている子どもや、「リセットすれば簡単にやり直しがきく」と考えている子どもの存在など、子どもたちの命の重みに対する感受性が、心もとないほど弱まっているといったことも指摘されています。
 そうしたことから、私は、是非、学校教育の現場で、改めて、子どもたちに、命の重みや、尊さを取り上げ、子どもたち一人ひとりの心に植え付けていく必要があるのではないかと考えます。生や死のもつ意味についてしっかりと考え、さらには、人の命には限りがあることや、かけがえのないことをきちんと理解し、そして自分の命も、他の命も、すべての命の大切さを、子ども自身に実感させていくことが、ますます重要になってきていると言えます。
 先の県議会9月定例会においても、我が会派の小山議員が、命の大切さの問題について取り上げ、教育長からは、『「命の尊さ」を教える教育について、正面から取り組んでいく』という答弁をいただきました。こうした問題への対応として、県教育委員会はプロジェクトを立ち上げ、すでに1回目の会議も実施したとお聞きしております。

◆そこで、このプロジェクトも含め、命を大切にする教育を、神奈川県教育委員会として、どのように推進していこうとしているのか、教育長のご所見をお伺いいたします。

教育長答弁
 命の大切さを教えることは、教育の基本であると考えておりますが、最近の痛ましい事件を聞くにつけ、改めて、子どもたち自身が生きる喜びを実感し、命あるものはかけがえのない存在であることを知り、自分も含め人の命を大切にする心をはぐくむことが、何よりも増して重要であるという思いを強くしているところでございます。
 また、私は、かねてより、身近な日常生活の話題を取り上げる中で、子ども自身が命の大切さを実感できるような資料集、言わば「心のふれあいノート」といったものが必要ではないかと考えておりました。
 そこで、このたび、全国でいじめを苦にした自殺が相次いでいるといった実情を踏まえまして、教育局内に市町村教育委員会や教育事務所の担当者もメンバーに加え、お話しにもございました「命を大切にする心をはぐくむプロジェクト」を立ち上げ、まずは、資料集の作成に向けた協議を開始したところでございます。
 今年度は、子どもたちの実態把握や資料の収集を中心に作業を行いまして、来年度のなるべく早い時期に資料集としてとりまとめ、学校へ提供してまいりたいと考えております。
 各学校において、作成いたしますこの資料集をもとに、多面的で深まりのある教育を展開し、子どもたちには、命の大切さを、しっかりと学び取ってもらいたいと考えております。


神奈川県議会議員 しきだ博昭

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