しきだ博昭
障害があっても、あるいは高齢となっても、住みなれた地域で引き続き安心して暮らしていくこと、このことは県民の多くが望まれていることであります。そうしたことのためには、地域福祉支援の一層の推進が重要であると考えております。これまでの少子高齢化等を要因とする社会構造の変化に伴って、核家族化が進展をして、家族のきずなの脆弱化や、あるいは都市化の進行等による地域住民の社会的なつながりの希薄化などが著しく、一方では社会問題化をしており、家庭や地域の機能の変化はますます加速をしているというふうに感じているところでもございます。
本年3月に策定をされた神奈川県地域福祉支援計画は、これからの福祉社会のあるべき姿である人と人とのつながりや支え合いを通じた豊かな地域社会の実現に向けての第一歩の取組であるととらえているところであり、この神奈川県地域福祉支援計画に関連して、幾つかお尋ねをしてまいりたいと思います。
まず、地域福祉の推進がこれまで以上に求められる背景についてお伺いをしたいと思います。あわせて、地域福祉の推進に当たっては、県と各市町村との役割についてそれぞれお伺いしたいと思います。
地域保健福祉課長
まず、地域福祉の推進が求められる背景についてでございますが、かつての福祉と申しますのは、措置制度ということで、行政からサービスを与えるといった形のものでございました。また、こうした制度から外れる場合には、個人ですとか、あるいは家族の努力の中で解決をすると、こういった時代があったわけでございますが、我が国全体が成長 を達成する中で、福祉の分野におきましても、ソーシャルインクルージョンといった言葉がございますが、これは社会的に包み込むですとか、あるいはともに生きる社会、こういった表現でございますが、こういった考え方が支持されるようになってございます。
その延長線上の中に地域福祉といった考え方も出てきているわけでございまして、その背景といたしましては、核家族化が進みまして、やはり家族の中で福祉ニーズを解決することがなかなか難しくなった、こういった点が一つはございます。
それから、2点目といたしまして、高齢社会が進みまして、支援を必要とする方々が増えてきたといったことがございまして、そうしたところに対しまして、行政ですとか、個人で対応するには限界がございますので、地域全体で支えていくと、こういった必要があるといった点が2点目としてあるかと思います。
それから、かつては個人的な解決が図られてきました、例えば子育てに悩む親御さんの問題、さらには不登校児童生徒への対応といったことにつきましても、これは個人の問題ではなくて、やはり社会的な問題ではないかと、こういった認識が高まってまいりました。こういったようなことが背景にあろうかと思っています。
一方で、受け皿となります地域の中におきまして、ボランティアですとか、NPOの数が増えてまいりまして、こうした地域のニーズを支える受け皿も整備されてきたと、こういったことがありまして、地域福祉ということは今後の一つの柱になってくると、こんなことと考えてございます。
それから、市町村と県の役割でございますが、福祉の大きな流れといたしまして、施設入所から在宅、あるいは地域と、こういった流れがあるわけで、したがいまして、市町村の役割といたしましては、地域の中にいろいろな方々が戻ってくるといいますか、存在いてしますので、そうした方々に対してどういった福祉サービスを提供するかといったニーズを確実にとらえるといったことであります。それから、そのニーズをとらえた上で、それらを提供する仕組みですとか、体制の整備をするといったことが市町村の役割と思います。
それから、県の役割といたしましては、広域的な自治体といたしまして、市町村を初めとする地域福祉の推進を担う方々等を支援する、こういった立場にあるわけで、具体的には複数の分野ですとか、複数の市町村にまたがることを支援する広域性ですとか、あるいわケアマネをはじめとする人材養成といった専門性さらには新しい取組みに対する先進的な研究が県の役割だと思います。
しきた博昭
時代の変遷ともにですね求められる福祉のニーズも変化をしてきていることもありますし、なかなか家庭や個人だけでは支え切れなくなってきたこういった問題もあるという、こういった背景であろうかと思います。
また、担い手を支援をするとか、市町村の方ではそうした実態をきちっと把握をして、ニーズをとらえて、的確なサービスが提供できるように努めていく、これを県として支援していこうという、こういう動きのようでございます。
今、市町村の地域支援計画は、社会福祉法に位置づけられているということ、今日読んでおりますが、必ずしも義務づけられているというわけではないということであります。策定が市町村によってもまちまちであるようにも聞いておりますが、現段階において県内市町村の地域福祉計画の策定状況について、どういった状況なのか、その点をお伺いしたいというふうに思います。
地域保健福祉課長
市町村の地域福祉計画の策定状況ですが、16年度まで、昨年度までの15の市、町で策定を終了してございます。それから、今年度中に3市1町が策定を予定をしているということでございまして、したがいまして、15に加えまして5つの市町ということですので、37市町村中20の市町で策定がされる見込みとなってございます。
しきだ博昭
このペースが早いのか遅いのかというのはほかの県も含めてちょっと分かりませんが、いずれにしましても、地域の方々が安心して暮らしていけるこうした重要な計画の策定でもあろうかと思いますので、より一層、県としても市町村に対する支援を進めてをいただきたいというふうに思いますが、この広域自治体である県にはどういった支援が求められているのか、市町村に対する支援をどのように今後進めていこうとしているのか、特に未策定の市町村に対して、このあたりについてお聞かせをいただきたいと思います。
地域保健福祉課長
策定のスピードは全国的に見ると中ぐらいという状況でございますが、できれば全市町村に策定をしていただきたいと思っております。
昨年度につきましては、計画未策定の3市町の社会福祉協議会に対しまして、市町村、あるいは市町村の社協、それから住民の方々、そうした方々が計画をつくろうという機運が盛り上がらないとなかなかできないところがございますので、そういった機運を醸成する意味から、住民集会ですとか、あるいは職員研修などを実施してきておりまして、本年度も続けていきたいと思っています。
それからあと、行政の職員がこういったことに対して熱意を持つというのは大事でございますので、市町村の職員に対しまして、地域福祉担当新任職員研修を新規の対応として取り組んでいきたいと思っています。
それから、市町村の課長さんなどと、いろいろな会議がございますので、そうした機会の中で是非市町村の地域福祉計画の策定をしていただくように話をしていきたいと思っています。
しきだ博昭
それでは、この計画の目標として掲げられております、だれも排除しない、だれも差別されないともに支え合う社会づくり、これを実現をしていくためには、地域の中でキーマンとなるもの、人材の育成が不可欠であるというものを感じております。計画の中でも、地域福祉コーディネーター育成の推進が大きな柱の一つとして位置づけられておりますが、この地域福祉コーディネーターにはどういった役割を県として期待を寄せておられるのか、その役割についてちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。
地域保健福祉課長
福祉的支援を必要とする方々が地域でたくさん生活をするような社会が来るだろうと思っております。そうしたためには、いろいろなサービスを組み合わせながら生活をするということが必要になってまいりまして、例えば高齢者でしたら、コウマルのサービスとしての介護保険制度でありますが、ああいうコウマルなサービスとしてのボランティアによります買い物ですとかごみ出し、あるいは外出の付き添いといったような、いろいろな生活の些事にわたる支援が必要になってまいりますので、こうした方々に対しましては多様なサービスを組み合わせるといった連結役といいますか、そういったネットワークの中心となるような方々が必要になってくると考えていまして、そうした方々を地域コーディネーターと位置づけて呼んでおりまして、この方々に対しましては、相談を受けるですとか、あるいは地域の福祉ケンの掘り起こしをするですとか、さらには住民同士の合意形成を図るといったような役割を期待しているところです。
しきだ博昭
ボランティアできるときにできる人ができることをやるというのが基本だろうと思いますし、これからのこうしたきめ細かな福祉のニーズにこたえていけるためにも、こうしたコーディネーターの育成というものが極めて重要だと思いますので、さらなる推進を図っていただきたいと思いますが、この地域福祉コーディネーター、今御説明がありましたように、内容をお話をいただくとよく理解もできるんですが、言葉としてはにぎやからしい感じもいたしておりますが、これまでこの地域福祉コーディネーターをどのように育成をしてきたのか、どのような育成を図ってくるのか、県としてこの辺についてお伺いをさせていただきたいと思います。
地域保健福祉課長
地域福祉コーディネーターという言葉自体がなじみがないというふうがあるわけでございますが、これは1から新しく育てるということではございませんで、民生委員さんですとか、あるいはボランティアの方、あるいはNPOの方等々、既に地域で活動されている方々の中から、志のある方になっていただくということで、専門性の向上ですとか、それから地域の情報の集約ですとか、そういったことをしていただきまして、ネットワークの中心になっていただきたいと思っております。
そういった意味から、平成15年度から地域福祉コーディネーターの考え方の普及と、それから育成事業ということをスタートさせてございまして、当面は掘り起こりということでなっていただける方々を地域から掘り起こすといったこととか、あるいは普及のための交流集会、研修会を行ってございます。
それから、16年度からスキルアップ、技術を向上するための専門研修等を開催しているところでございます。
しきだ博昭
本当におっしゃるとおり、この冊子にも書いてありますが、あらゆる地域の皆さんが地域福祉の担い手であるという、こういうとらえ方、本当にすばらしいなと思っておりますし、知らず知らずのうちにふだんやっていることがこうした担い手として非常に有効だなという思いもいたします。そのあたりをそれぞれ地域の方々が我々も含めてしっかり認識をして、できることを地域で実践をしていくという、こういう取組をしていかなければいけないなと思いますし、またそういう広報活動といいますか、啓発活動についても、県が指導的な役割を果たしていっていただきたいというふうに思います。
それも踏まえて、地域福祉コーディネーターを地域福祉推進の中心となる人材として育成をしていこうという、こういう話を今行っているところですが、今後、これをどのように事業展開を図っていこうと考えておられるのか、この辺をお伺いしたいと思います。
地域保健福祉課長
現在、市町村で幾つか計画をつくっていただいた市町村ございますが、その中でもやはり地域福祉コーディネーターを市町村の計画の中で大事に位置づけている一つもございます。そうした市町村に対しましては、やはり市町村における活動の情報の発信ですとか、交流集会等の開催、あるいは担い手になります地域コーディネーターになっていただける方々の資質向上を目指した専門研修を、既に実施してございますが、さらに充実をしていきたいということで考えています。
しきだ博昭
こうした計画は、市町村を初めとする地域福祉の担い手に対する支援計画という、こういうとらえ方でよろしいかと思うんですが、何よりもこれからの求められる福祉ニーズに合った、支援される側のニーズを大切にしながら支援策を実行していくことが重要だと思っております。今後、この計画をどのように県として必要な推進を図っていくお考えなのか、このあたりを最後にお伺いをしたいと思います。
地域保健福祉課長
昨年度、地域福祉支援計画をまとめまして、具体的には30本の支援策ということで、分かりやすく30本の支援策をまとめてございますが、この支援策につきましては、かなり市町村さんとか有識者の方等々、議論を行ってきたわけでございますが、今後、具体化につきましては、それぞれ制度ですとか、中身の細部について議論をしていく必要がございますので、この30本につきまして、地域福祉支援計画進行管理委員会といったものをつくりまして、その中にワーキング等を設置などをしまして、個別のテーマにつきまして、市町村、あるいは学識者の方々、県民の方々の意見を聞いて、具体化を図る、あるいは実施方法を明確にしていくといった具体的な対応をしていきたいと、こんなことでございます。
しきだ博昭
ありがとうございました。
この計画の目標に掲げてあります、だれも排除しない、だれも差別されない支え合う社会づくり、この大変大きな目標に向けて、目標の達成に向けて、こうした社会を県民の皆さん一人一人が実感できる、こうした社会づくりに向けて県が指導的な取組を今後一層進めていただきたいということを期待をしながら、そして地域福祉の担い手のいわゆる地域福祉コーディネーター、これを育成をしていくこと、きめ細かいニーズに合ったこうしたサービスが提供できるような、こうした人材の育成、そしてそのニーズの把握に今後も一層努めていただきたいということ、そしてこの各市町村に対する計画の策定に向けての支援、そしてこの計画の着実な推進を重ねてお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。 |