議会報告
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神奈川県議会

05/02/23「県議会」
一般質問画像(県議会HP参照)

2005-04-14UP
2月23日(水)本会議で一般質問をしました。
 平成17年2月23日に一般質問を県議会において、質問をさせていただきました。
 下記にその質疑概要を掲載致します。
 質疑は、まずすべての質問を行い、知事または関連する責任者の方に答弁していただくものですが、1問1答での掲載としています。
はじめに
 お慕いしてやまない、新堀議長のお許しをいただきましたので、私は、自由民主党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えながら、順次、質問を行います。
 本日、一般質問のトップバッターとして、登壇の機会をお与え下さいました皆様に、心から感謝申し上げます。
 また、知事におかれましては、明快なご答弁をお願いいたしますとともに、先輩・同僚議員の皆様には、しばらくの間、ご静聴下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。
(1、神奈川県における国際貢献推進施策について)
 質問の第一は、神奈川県における国際貢献推進施策についてお尋ねいたします。

 折しも、今年は戦後60年の節目の年であります。
 敗戦の後遺症が尾を引く戦後、アジア諸国からの賠償放棄や各国から寄せられた数々の援助に対し、改めて、感謝しなければなりません。
 また、今年は、未曾有の被害をもたらした阪神・淡路大震災の発生から10年の節目の年でもあります。当時、マグニチュード7.2の大震災がもたらした惨状は、すぐさま世界を駆けめぐり、その直後、世界の国々から、お見舞いの言葉が寄せられ、同時に、約70カ国及び地域から支援の申し出があったということも決して忘れてはなりません。
 紛争、貧困、飢餓、自然災害への対応、地球環境の保全といった地球規模の問題の解決に向け、世界的な市民レベルの連帯が求められる中、今日を生きる私たち一人一人が、同じ時代に生まれ合わせた全ての人たちに対し、いかなる貢献ができるかを、この節目の年、考える必要があるのではないかと思います。
 私たちの暮らす神奈川は、人口874万人を有し、その規模は、国連加盟191カ国中、82番目と、83番目の間に位置し、ほぼスウェーデン・ボリビアと同規模であります。一方、経済規模で比較すると、平成14年度における県内総生産は、約30兆1176億円、米ドル換算で約2470億ドルで、国連加盟国中、実に18番目と19番目の間に位置し、スイスやベルギーとほぼ同じ規模であります。この数字は、本県が一つの国に匹敵する人口規模と経済力を有していることを示しております。
 地方の時代と言われる今、相互依存関係が一層深まるこの国際化の時代にあって、国際社会における個人の役割、さらには自治体の役割は益々大きくなってきており、これからは積極的な自治体外交、知事外交という視点が必要となります。私は、こうした観点から、本県も、より積極的な国際貢献の取り組みに向けた新たな一歩を踏み出すべきであると考えます。
 自治体レベルにおける先進的な取り組みを行っている岡山県では、国際貢献を担う主体それぞれの役割と協働の原則、県の基本的施策等を定める「岡山県国際貢献活動の推進に関する条例」を全国にさきがけ制定しております。この条例では、国際貢献活動の具体的な内容と推進方向を示し、国際貢献活動の定義とともに、NGOを「国際貢献組織」と位置づけ、国際貢献活動のすそ野の広がりを重視し、さらなるレベルアップを目指し取り組んでいるところであります。
 また、岡山県には、条例制定の推進役を果たしたNGO「AMDA(アジア医師連絡協議会)」があります。AMDAは長年、医療を通じた国際貢献活動を展開し、世界的にも評価の高い国連認定NGOであります。21世紀は「多様性の共存」が時代のテーマであり、そのキーワードは「尊敬と信頼」であるとの認識のもと活動されており、その根底にあるのは「相互扶助」の精神、わかりやすく言えば、「困った時は、お互い様」の心であるとおっしゃっています。
 一方、神奈川にはAMDAほど確立されたNGOは無いかも知れませんが、私も、これまで何度かご一緒させていただきました、タイやフィリピンを中心に20年余りにわたり、数千人におよぶ子供たちの無料歯科診療や口唇・口蓋裂児手術プロジェクト等の活動を続けておられる神奈川海外ボランティア歯科医療団など、本県には、数多くのNGO等があり、2003年1月現在で、その数、実に400を数えます。
 本県は、1859年(安政6年)の横浜港開港以来、いちはやく世界に窓を開き、日本の国際化の先端を歩んで参りました。そこには、外国の新しいモノや文化・多様性を受け入れる寛容さや、世界に目を向ける開かれた国際的な感覚をもった神奈川の県民気質があります。
 例えば、青年海外協力隊参加者数、県民の海外出国者数、県内企業の海外進出、外資系企業の県内進出など、いずれも増加し、人的交流、経済交流も年々盛んになってきており、諸外国、とくにアジアとの相互依存関係はさらなる深まりを見せてきています。
 加えてJICA・横浜国際センターや、WFP・国連世界食糧計画日本事務所など、県内には多くの国際機関が事務所を設置しております。 
 また、本県は中国・遼寧省、韓国・京幾道をはじめとし、世界の8つの自治体との友好提携を結び、多様な交流の推進が図られております。
 開港以来、今日に至るまでのこうした地域特性や県民性、諸外国との交流の蓄積は、国際貢献を一層推進していく上で、大きな原動力になると思います。
 また、ここで新たな条件が整いつつあります。それは、いま、議論が展開されております羽田空港の国際化であります。先ほど申し述べました岡山県では、岡山空港を活用し、空港内に県内のNGO等が行う国際救援活動を支援するための「救援物資備蓄センター」を設置しております。本県においても、羽田空港の国際化を一つの大きなきっかけとして、国際貢献活動の一層の推進を図るとともに、基幹的広域防災拠点としての整備が進められている東扇島地区の活用や、国際レスキューシステム研究機構など、各研究機関との連携により、京浜臨海部の潜在力をさらに引き出していくことができるのであります。
 羽田空港の国際化をきっかけとして、こうした災害時における海外支援を行う環境を整備していくことにより、国内の支援についても対応が可能となります。 
 また、神奈川には、横浜港・川崎港といった全国有数の港があり、今も、多くの人・モノが行き交っております。
 羽田空港の国際化に伴う空の貢献に加え、海の貢献にも適した地域特性を有していると言えます。
 国際貢献活動を推進していくことにより、神奈川の風土や文化への誇りと、郷土への愛着がより深まるものと考えます。地方発の国際貢献活動を自発的かつ自立的に展開していくといった、こうした取り組みは、県民の心に充足感をもたらし、また、国際貢献活動に子供たちが参加することにより、世界情勢や人々の生き方に目を向けることができるようになり、他を思いやる心と、国際性が育まれ、潤いと活力に満ちた特色ある神奈川づくりに、大いに役立つものと考えます。
 さらに、国際貢献は、知事のトップセールスだけでなく、県民一丸となって、内外に「神奈川」をアピールすることとなり、結果として「神奈川」の地名度アップにつながります。現在、本県が取り組んでいる海外企業誘致策と相まって、京浜臨海部の活性化や神奈川経済の再生に、副次的効果をもたらすものと確信いたしております。
 これまで、縷々、申し述べて参りましたとおり、国際貢献活動の必要性と、神奈川の地域特性や歴史的背景、豊富な人的資源や県民性など、国際貢献基盤の優位性を活かしつつ、国際貢献活動を本県の重点施策として位置づけ、より一層推進していくべきであると考えます。

 そこで、知事にお尋ねいたします。

(1) まず、国際貢献活動の必要性について、知事は、どのような認識およ  び考えをお持ちなのかお伺いいたします。

(2) 次に、国際貢献活動は、世界に神奈川を発信する機会ともなります。  羽田空港国際化のメリットや横浜港・川崎港をはじめ、京浜臨海部とい  う好立地条件・地域特性をいかした国際貢献活動が果たす役割について  はどのような考えをお持ちなのか、ご所見をお伺いいたします。

(3) さらに、多くの国際貢献基盤が揃う優位性を認識し、これまでの、本  県における国際施策の集大成として、「神奈川県国際貢献活動推進条例(仮  称)」を制定すべきであると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
(松沢 成文 知事答弁)
 しきだ議員のご質問に順次お答えします。まず、神奈川県における国際貢献推進施策についてのお尋ねをいただきました。質問の第1は、国際貢献活動の必要性について、どのような認識及び考えを持っているのかということでございました。
 今日、国際社会の様々な分野でボーダーレス化が進み、世界的な規模で相互依存が深まっております。このような中で、国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて自国の安全と繁栄を確保していくためには、貧困、飢餓、地球環境の保全など、地球的規模の課題の解決に向けて、各国が経済力や技術力を活かして国際貢献活動を行っていく必要があります。
 このようなことから、国レベルでは、これまでODA 政府開発援助などにより、経済・社会のインフラ整備や人材育成など、開発途上国の発展と安定に大きく貢献してきております。
 一方、地域レベルにおいても、個人、NGO、企業、自治体などにより、その有する経験、技術など、それぞれの特色を活かして、様々な国際的な支援や援助などの活動が活発に展開されております。
 本県におきましても、これまで、世界に開かれた日本の窓として、わが国の近代化をリードしてきた地域の特色を活かし、地域同士、市民同士の主体的な交流と協力を通じて相互理解を深め、神奈川から世界の平和と発展に貢献するという考え方から、国際協力活動の実施や民間レベルの活動の支援などに取り組んでまいりました。
 具体的には、多くの皆様のご協力をいただき、平成5年に「かながわ民際協力基金」を設置しまして、国際協力活動を行う県内NGOへの支援などを行ってまいりました。
 また、開発途上地域における人材育成、技術支援を目的に、「海外技術研修員」の受入れや、青年海外協力隊活動への支援等を通じたJICA 独立行政法人国際協力機構との連携などにも取り組んできております。      
 このような取組みは、県民の皆様に、地球的規模の課題の解決に向け、身近なところから行動するという地球市民意識の醸成を促すとともに、国際性豊かな人材の育成にもつながるものと考えております。
このように本県においては、これまでも国際社会の中で、人と人、地域と地域が交流を図り、協力の輪を広げ、地域からの国際貢献として、様々な活動が展開されておりますが、今後もそうした取組みの積極的な推進に努めてまいりたいと考えております。

 次に、京浜臨海部という好立地条件、地域特性を活かした国際貢献活動が果たす役割についてお尋ねをいただきました。
 神奈川は、日本の近代化をリードしてきた先進性と日本有数の産業集積と高い技術力、そして交通網をはじめとする利便性の高い都市的インフラなど、多彩な特色を持つ魅力あふれる県であると言えると思います。
中でも、議員からお話のありましたように、京浜臨海部は、羽田空港の国際化や京浜港のスーパー中枢港湾の指定など、今後、我が国経済における国際的な拠点へ変貌を遂げていく環境が整いつつあります。
 また、高度な科学技術の集積や国際関係機関の立地など、国際協力を推進する上でも多くの条件を備えているものと考えております。一例を申し上げますと、本県と川崎市が共同・提携して、構造改革特別区制度も活用し、これまでの公害対策の経験を活かして、環境分野において川崎臨海部の企業が有する環境技術の国外供与、ビジネス及び人的交流、起業家の育成などを通じ、国際貢献に資する取組みも進められているところでございます。
 本県が持つこのような様々な特性を活用して国際協力活動を行うことは、相手先地域の経済社会の発展や人材育成に貢献することは言うまでもありませんが、本県の魅力や優位性をあわせて広く世界に発信することとなり、神奈川が国際社会から広く認知され評価されることにもつながると思います。
 魅力ある地域には国際的にも人材や投資などが集まり、地域の経済社会が活性化され、その発展につながってまいります。
こうした点から、国際協力活動に取り組むことは、本県の魅力や付加価値の増進にもつながり、ひいては京浜臨海部をはじめ県土全体の発展をもたらすものであると考えております。
したがいまして、国際社会の一員として、多くの分野で、神奈川の県土の持つ様々な優位性を活用し、また、それを世界に発信しながら、今後とも国際協力活動を積極的に推進してまいりたいと考えております。

 次に、国際貢献活動推進条例の制定についてのお尋ねをいただきました。
地域からの国際貢献は、身近な生活や地域の産業などに関わる様々な分野で、出来ることから取り組むことが重要であり、国際社会の一員としての私たちの役割であると考えております。
 したがって、広く県民、NGO、企業、自治体などそれぞれが協働・連携して取り組み、その活動の輪が大きく広がるよう、自治体が支えていくものと考えます。
そこで県といたしましては、県民の皆様をはじめ、様々な活動の担い手と県とが共通認識を持ち、また、協働・連携して国際活動を地域で活発に行っていけるよう、県が国際施策を展開するにあたっての考え方や方向性を示した「かながわ国際施策推進指針」を昨年策定したところでございます。
この指針では、幅広い連携と協働による多文化共生社会の実現のための県の役割と基本目標、そして目標の達成に向けての施策の方向性を示し、県民、NGOの皆様などと協働・連携し、県としての国際施策を推進することとしております。
 本県におけるこれまでの国際協力活動は、県民やNGOの皆様など様々な担い手がそれぞれ主体的に、活発な取組みを行ってきており、県としても、その活動を側面から、あるいは市町村等との連携も図りながら、支援をしてまいりました。
 議員から、これまでの本県における国際施策の集大成として、条例制定についてご提案をいただきましたが、県といたしましては、昨年策定した指針を基に、県民、NGO、市町村、企業等が持つ取組みの理念や考え方を尊重しながら、神奈川からの国際協力、国際貢献のより一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
(2、福祉施策について)
(1)遷延性意識障害について

 質問の第2は、福祉施策についてであります。

 福祉施策の1点目は、遷延性意識障害についてお尋ねいたします。

 近年の救命救急医療技術の進歩には、目覚ましいものがあり、多くの人命が救われることは、たいへん喜ばしいことであります。しかし、その一方で新たな課題も発生しております。患者や家族が安心した生活が送れるよう、相互扶助の理念のもと、社会全体での対応が求められております。
 こうした、早急な対応が求められるものの一つに「遷延性意識障害」があります。「遷延性意識障害」とは一般的に、交通事故や、脳卒中などにより、脳に重い障害を負い、長期にわたり寝たきりに近い状態に見える患者のことであり、「植物症」とも呼ばれることもありますが、我々と同じように、肌の温もりと、血液が脈打って流れ、しっかりとした生命の営みを続けている、尊厳ある人として生きている以上、決して、適切な表現とはいえません。
 交通事故による死亡者数は減少しているものの、医療の飛躍的な進展と高度化等により、救命率が向上している一方で、こうした「遷延性意識障害」の患者は急増しております。
 国による正確な実態調査が、行われていない現状でありますが、各種調査からの累計によると国内の患者数は4万人を超えるとも言われ、数年前の2倍以上、今後もその数は増え続けるものとされております。
 このように、患者の激増にもかかわらず、治療やリハビリ、在宅療養を支援する体制は未整備の状況であると言わざるを得ません。病院が整備され、既存の福祉サービス制度があるとは言うものの、患者やその家族の実態に即しているとは到底言い難く、そこには、こうした新たな課題に対する明らかな対応の遅れがあることを指摘しなければなりません。
 具体的にその実態を申し上げます。事故等に遭った場合、まず、救命救急病院に搬送され、手術が行われます。一命をとりとめることができたが、脳に重い障害を負い、そこで「遷延性意識障害」と診断され、1〜2週間の入院の後、一般病院に移送されることになります。一般病院では、通常、経営の効率化などから患者の長期入院を避けることが多く、結果として転院を余儀なくされます。患者の中には、5年弱で12回、転院を繰り返したという方もあり、多くのご家族が同じような経験をしているとのことであります。これは、現状、「たん」の吸引や感染症防止、合併症予防などが中心となり、未だ効果的な治療やリハビリが確立されていないことが一因とされております。すなわち、人手はかかるが、収入が上がらないため、患者や家族が安心して入院できる施設は、ほとんどないのが現状であります。
 こうした患者を受け入れる専門病院としては、先日、私も訪問させていただきました、自動車事故対策機構が設置している千葉療護センターをはじめ、全国で4か所、ベッド数も合計で、わずか200床しかないのが実態であります。
 では、病院で受け入れてもらえず、こうした療護センターに入ることのできない患者は、どうなるのかと言えば、多くの場合、在宅療養を余儀なくされます。しかし、この在宅療養は、家族への大きな負担を伴います。自宅の改築などによる経済的負担に加え、介護による肉体的、精神的な負担は、大変なものであります。遷延性意識障害者は、自力で「たん」を排出することができないため、吸引が必要となります。吸引を怠ると、窒息し、命の危険を伴います。その頻度は、一日20回以上行わなければならない場合もあり、24時間365日、終わりなく、この作業は続きます。日中は、ヘルパーによる介護を利用することができますが、この「たん」の吸引は、厳密には医療行為とされ、医師、看護師に加え、例外的に家族にのみ認められているため、ヘルパーによる介護が行われている間も、家族の誰かが絶えずそばに居る必要があります。ご家族の中には、息子の事故以来、たんの吸引で、これまで7年間2時間以上続けて寝たことがない、という方もいらっしゃいます。
 この他、流動食を直接胃に流し込む食事や、2時間おきの体位変換と体温維持のための検温など、終わりのない看護に追われる過酷な毎日が続きます。 こうした、想像を絶する状況にもかかわらず、献身的な看護を続けておられるご家族の支えは、ただただ、信じて疑わない回復への希望(のぞみ)と、我が子や夫、妻、肉親に対する深く、限りない愛情であります。
 昨年10月、私は、こうした同じ境遇にある方々の集まりである「全国遷延性意識障害者・家族の会」の設立総会に参加させていただきました。そこで、家族会の方々から、私たちの家族は「医療」「福祉」いずれかが欠けても生きていけない。福祉施設やサービスなど、制度はあっても利用できない、といった切実な訴えをお聞きいたしました。
 これまで、日常の看護に追われ、実情を訴える余裕すら無かった患者のご家族の切実な訴えをお聞きし、また、現実を目の当たりにした以上、「こうした声をきちんと伝え、一人でも多くの方に、この現状を知っていただき、解決に向け努力していくことが大切であり、これが、私ども議員の責務である」との思いで今日、こうして質問させていただきました。
 障害者の事を英語でChallenged(チャレンジド)と呼びます。これは「挑戦する運命を神から与えられた人」という意味であります。
 知事におかれましては、多くの困難を乗り越えるため、挑戦し続けておられる、遷延性意識障害者の患者さん、そして、回復の可能性をひたすら信じ、日夜、看護にあたられているご家族のお気持ちに、思いを巡らせて頂きたいと思います。
 ここにきて、報道によれば、家族の負担軽減のため、ヘルパーによる「たん」の吸引を年度内に認める方針が出されるとしており、このことは、一つの前進、朗報ではありますけれども、まだまだ完全な対応がなされたとは言えません。
 まず、ホームヘルプサービス等の支援費制度は、遷延性意識障害のように、全身性の障害がある方が在宅で生活できるように、制度上は「必要に応じ、24時間のホームヘルプサービスを受けられることになっている」ということは十分承知いたしております。しかし、現実には、在宅で生活している遷延性意識障害の方々とそのご家族が、必ずしも十分なサービスを利用できているとは言いきれないのであります。
 制度上にあるサービスを十分活用することができていない家庭もあり、制度と現実のギャップをどう埋めていくかが、今後の大きな課題であります。

 そこで知事にお尋ねいたします。

(ア) 支援費制度の実施者は、市町村であることも承知いたしております。
  しかし、これまで申し述べて参りましたように、制度と現実のギャップに置かれた遷延性意識障害の方々や、そのご家族に対し、県として、どのような支援に取り組んでいるのか、基本的な考え方と具体的な取り組みについて、お伺いいたします。

 また、遷延性意識障害で療養している患者の中には、意思疎通ができるようになるまで回復した人も少なくありません。患者の多くは、自力で動けない状況であることから、病院における看護の中でのわずかな反応・メッセージを注意深く観察し、如何に把握できるかが回復への大きなポイントとなります。
 リハビリが遅れれば、それだけ機能回復も遅れることとなり、こうした患者に対し、専門的に対応できる病院や体制の整備が急がれます。
 全国的に見ても専門病院は不足している現状があり、また、交通事故発生件数の多い本県には、多くの遷延性意識障害の患者がいると推測され、その数も今後益々増えていくことが、予想されます。 
 遷延性意識障害者の中には、かなりの患者が意思疎通ができるまでに回復している事例もあります。しかし、それは専門医による適切な処置がなされればこそであります。

 そこで知事にお尋ねいたします。

(イ) 県として専門病院をもつべきであると考えますが、いかがでしょうか。
  また、専門病院による対応がすぐにできないのであれば、既存の病院を有効に活用するといった弾力的な対応も必要と思いますが、この既存病院の活用については、どのように考えておられるのか、併せてお伺いいたします。
(松沢 成文 知事答弁)
 次に遷延性意識障害の治療のための専門病院設置についてのお尋ねをいただきました。
 遷延性意識障害の治療については、音楽療法や電気刺激療法などさまざまな方法が試みられていると聞いておりますが、このような努力を重ねる中で、意思疎通ができるま
で改善された方もいらっしゃると承知しております。
 また、議員お話のとおり、国内に4か所ある専門病院においては、自動車事故による遷延性意識障害の回復に向け、患者さんの数を上回る看護師を配置し、特別な看護体制の下、医療スタッフが常に入院患者のわずかな意識回復などの兆候をも確認できるような試みがされています。
 しかしながら、遷延性意識障害の治療は、未だ治療方法の組立てや回復効果に未知の部分が多く、先端的な分野として、医療技術を開発している段階にあると聞いております。
 従いまして、現段階においては、県として高度な専門性と特別な看護体制を有する病院を持つことについては、判断することが難しいと考えております。
 また、県内や近隣の医療機関の中では、一部治療の試みが行われていると聞いておりますので、一人でも多くの患者さんが回復されるよう、今後これらの医療機関と情報交換をしながら、研究してまいりたいと考えております。

 次に、福祉施策について何点かお尋ねをいただきました。
 はじめに、遷延性意識障害についてでございます。
 交通事故などにより脳に障害が残り、意識が戻らないまま寝たきり状態となる遷延性意識障害の方々のほとんどは、床ずれを防ぐ体位交換などの福祉サービスと人工呼吸など医療サービスの両面を必要とされています。
 現実には、県内に専門の病院がないこともあり、一般病院や在宅で苦労されながら生活されております。
 特に在宅の場合には、24時間の介護が必要であることに加え、家族が痰の吸引などを行わなければならないために、ご苦労も多く、負担も大きいものとなっていると認識をしております。
 遷延性意識障害の方々への支援に当たりましては、必要な福祉・医療両面のサービスはもとより、ご家族の暮らしをどう支えるかという視点に立って取り組むことが重要であると考えております。
 こうしたことから、本県では、遷延性意識障害や、筋萎縮性側索硬化症、ALSなど、特に医療的ケアを必要とされる障害者を受け入れるため、平成15年度に県立さがみ緑風園に、医療機能を併せて整備して、現在16名の遷延性意識障害の方を受け入れるとともに、在宅の方々につきましても、緊急時の一時利用等をしていただいているところであります。
 また、在宅の方々に対しましては、介護をされているご家族の負担軽減のため、厚生労働省においてホームヘルパーなどが痰の吸引をできるように見直す方向もあると聞いております。
 本県といたしましても機会を捉えて、国に対し規制を緩和していただくよう必要な働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 さらに、支援費制度の実施主体である市町村と連携しまして、福祉・医療分野の専門性の高い人材の育成、障害者ご本人と家族のニーズに応じた相談の実施など重度の障害者とご家族へのサービス支援体制の充実に取り組んでまいりたいと思います。

(2)高次脳機能障害について

 福祉施策の2点目は、高次脳機能障害について、お伺いいたします。

 医療技術の高度化に伴う救命率向上により、遷延性意識障害のほか「高次脳機能障害」 に苦しむ患者も増加しております。この「高次脳機能障害」は、交通事故等による脳外傷や脳血管障害等により、脳への損傷の結果、記憶力や集中力が低下したり、状況に応じた感情表現や、適切な行動を行う事が難しくなる障害であります。高次脳機能障害は家族との人間関係を損なう場合や、就学・就労、といった社会参加や社会復帰も困難になるといった問題も起きてきております。
 この「高次脳機能障害」はあまり聞き慣れない言葉でありますが、それは、この問題が理解されはじめたのが、ごく最近のことだからであります。そのため多くの課題が山積しているのが現状であります。
 このような中、厚生労働省は平成13年から3年間、「高次脳機能障害支援モデル事業」を実施してきております。さらに平成16年度から2年間の延長では、初年度からの3か年に試行してきた高次脳機能障害の評価や訓練、社会支援の方法や有効性の実証が課せられております。
 本県では、神奈川県総合リハビリテーションセンターがこのモデル事業を担っており、先日、私も訪問し取り組み状況について伺って参りました。
 こうした神奈川県総合リハビリテーションセンターをはじめ、各地における精力的な取り組みにもかかわらず、まだまだ、その支援対応が遅れている障害の一つがこの高次脳機能障害であります。
 高次脳機能障害者の中には、一見すると普通の人と何ら変わらないケースも多く「見えない障害」とも言われております。高次脳機能障害が、なかなか社会に理解されない原因の一つがここにあり、不合理な対応を受けることもしばしばであります。
 一例を申し上げますと「障害者手帳の交付」という問題があります。多くの高次脳機能障害者は、その認知度が低いため、障害者手帳の交付を受けていない場合が多いと言われております。
 ご承知の通り、障害者手帳には「身体障害者手帳」、「精神障害者保健福祉手帳」、「知的障害者手帳」の3種類がありますが、それぞれに交付基準があり、新たな障害と言われ、認知度も低いため、あるいは医師の理解不足などにより基準に満たないと判定されるケースもあると伺っております。
 さらに、高次脳機能障害の判断基準が明確に確立されていないため、他の障害者等級基準を準用することから、実際よりも等級判定が低かったりすることがあります。このことは、患者や家族等が本来、受けることができる福祉サービスを受けることができないなど、サービスの質や量にまで影響を及ぼす大変重要な問題であります。
 高次脳機能障害者のご家族も、行政の対応が曖昧なため、どこに相談を持って行けばよいのかさえわからず、戸惑うケースも多くあると聞きます。情報提供のあり方や相談窓口の一層の充実が望まれるところであります。
 今後も、医療技術の進展と高度化、さらには認知度が高まるにつれて、高次脳機能障害者の数は増え続けるものと容易に予想されます。
 行政としても、後手後手に回らないよう、積極的かつ効果的な対応が強く求められます。

 そこで、知事にお尋ねいたします。

 本県においても、国の「高次脳機能障害支援モデル事業」に参画し、県からの委託を受けた神奈川県総合リハビリテーションセンターが事業実施をしてきております。2年間の延長が決まったこの事業について、現在、どのような課題のもと、どのような取り組みが行われているのか。また、今後、こうした事業実績と取り組みをどのように発展させ、高次脳機能障害に対応していくのか、併せてお伺いいたします。
(松沢 成文 知事答弁)
 次に、高次脳機能障害の方に対する支援策についてであります。
 高次脳機能障害は、交通事故による頭部外傷や脳卒中などによる脳の障害で、直前のことをすぐに忘れたり、思うようにならないとすぐに怒ってしまうなど、日常生活に支障を生ずることが多くございます。
 外見は健常者と変わらないことから、周囲の理解がされにくく、家族関係の維持、復職や復学などが難しく、さらに障害者手帳の取得自体ができない場合があるなど、ご家族を含めて大変苦労されていることと認識をしております。
 こうした方々への支援として、高次脳機能障害を熟知した、多様な職種のスタッフによる包括的なリハビリテーションや、地域の医療機関、福祉施設等との連携、さらには社会参加のための支援体制の整備が求められております。こうした課題を踏まえ、厚生労働省では平成13年度から、本県を含め全国の12地域で、高次脳機能障害支援モデル事業を実施してきたところでございます。
 本県では、現在、神奈川県総合リハビリテーションセンターでこの事業を実施しておりまして、平成15年度までのモデル事業の成果として、国が作成した診断基準や訓練プログラムなどを活用して、複数の分野の専門職員による診断・評価・訓練を行っております。
また、平成16年度からは、同センターに高次脳機能障害支援コーディネーターを配置しまして、ご本人やご家族の方々に対する総合的な相談や指導を行うとともに、福祉施設などに専門職員を派遣するなど、試行的取組みも進めております。
 今後は、こうしたモデル事業の取組みとともに、社会復帰が難しい高次脳機能障害の特性を踏まえ、ご家族や関係団体と協働しながら、障害者手帳を持たない方々を含めた、高次脳機能障害の方への支援に取り組んでいくこととしております。
 来年度に向けては、高次脳機能障害の方が地域作業所を利用する際の重度加算を新たに設けるとともに、モデル事業終了後速やかに事業を展開するため、ケアマネジメント従事者向けのハンドブックを作成するなど、地域支援体制の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
(3、保健・医療・福祉の総合的推進について)
 最後に、保健・医療・福祉の総合的推進についてお尋ねいたします。

 ここまで私が述べて参りましたことは、実際の社会生活の中では、まだまだ法整備や縦割り行政の弊害によって、支援やサービスが受けられない、あるいは受けることが難しいケースが多々あるということであります。
 今なお、医療と福祉の狭間で苦しんでおられる患者やご家族が多く、日々の生活が尋常になく厳しい実態がございます。少子高齢社会の本格的な到来は、もう目の前であり、今後も増加するであろうこうした今日的課題については、早急に検討し、速やかに対応を実施しなければならないと考えます。
 折しも、17年4月からは、保健・医療・福祉の総合的推進を図るために、保健福祉部が設置されることとなっております。遷延性意識障害や高次脳機能障害など、医療と福祉の狭間でご苦労されておられる方々にとって、この組織統合が障害福祉分野のさらなる充実に結びつくことを期待しております。

 そこで知事にお尋ねいたします。

 衛生部と福祉部の組織統合により、障害当事者やご家族の方々に、どのようなメリットがもたらされるのか、今後の新たな課題への対応も含め、障害者への福祉の底上げ・向上に、どのようにつなげていくのか、知事にご所見をお伺いいたします。
(松沢 成文 知事答弁)
 最後に、福祉部と衛生部の再編を障害者福祉の向上にどうつなげていくのかとのお尋ねがございました。
 今回の部局再編は、県民生活に密接に関係する保健、医療、福祉サービスを総合的に提供できる体制を構築することを目的としておりまして、具体的には、「少子・高齢社会に向けた体制の整備」、そして、「新たな課題に対応するための体制整備」さらには、「効率的・効果的な執行体制の整備」という3つのねらいをもって、新たな施策展開を図るものでございます。
 障害者施策につきましては、平成15年度に支援費制度が施行されて以来、障害当事者の主体性の尊重や、自己実現・社会参加の促進の考え方が一層進展をみせております。
 昨年、国は、三障害を一体的に進めることを目的の一つとした、障害保健福祉施策の「改革のグランドデザイン案」というのを示しまして、現在、その考え方を制度化する「障害者自立支援法案」が国会で審議されるなど、大きな変革の時を迎えております。
 本県といたしましても、こうした経過を踏まえ、これまで福祉部で行ってきた身体・知的障害者施策と、衛生部で行ってきた精神障害者施策を統合して、一元的に進めることにより、三障害全体の施策の推進に取り組んでまいります。
 また、平成16年3月に策定いたしました「かながわ障害者計画」におきまして、現行の障害認定基準だけでは捉えきれない高次脳機能障害や発達障害などの、いわゆる制度の狭間にある方々への支援策を検討することとしております。
 この考え方に基づき、来年度、これまで総合的な支援が行われにくかった、発達障害の方々に対する相談・療育・就労等の支援を行うための「自閉症・発達障害支援センター」を県立中井やまゆり園に設置してまいりたいと考えております。     
 さらに、高次脳機能障害者やその介護にあたるご家族の生活を地域で支えていくため、支援方策の検討を進め、保健福祉部として、保健・医療・福祉の連携を一層強いものとするなど、障害者施策の向上に努めてまいりたいと思います。
 答弁は以上でございます。
(結び)
 結びに、私の好きな詩家の一人であり、画家である星野富弘さんの詩をご紹介し、質問を終わりたいと思います。星野さんは、中学の体育教師になって間もなく不慮の事故により、手足の自由を失い、9年間入院されました。入院中から今日まで、口に筆をくわえ、詩や絵を描き続けておられます。
 この星野さんの詩の中に、次のような一節があります。

   幸せ という花があるとすれば
   その花の蕾のようなものだろうか

   辛い という字がある
   もう少しで
   幸せ に
   なれそうな字である

 今日、お話しさせていただきました方々は、これまで、それこそ、大変な思い「辛い」思いをされてきました。こうした方々に、必ずや近い将来、「幸せ」がもたらされることを切に願いながら、また、知事の心のこもった誠実なご答弁を求め、私の質問を終わります。
 ご静聴いただき、誠にありがとうございました。

神奈川県議会議員 しきだ博昭

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