神奈川県議会平成16年2月定例会文教常任委員会質疑概要
 2月定例会では、以下の3点を中心に質疑を行いました。
  ■県立高校改革における民間活力の導入と前期実施計画の検証について
  ■登下校時における安全対策について
  ■養護学校卒業生の進路について

  Report No.63(2004/05/09UP)
平成16年2月定例会

3月4日
〈県立高校改革における民間活力の導入と前期実施計画の検証について〉

質  疑
 教育分野に民間活力の導入を図ることについては、今定例会における我が党の山田議員からの代表質問に対し、教育長から答弁をいただいたところであるが、県立高校改革の推進にあたっては、民間のノウハウや人材の活用などを積極的に活用していくことが、まさに時代の要請であると思う。我が党が一貫して主張してきたとおり、平成15年度に開校した新しいタイプの高校の検証などを行った上で、後期実施計画を策定していく必要がある。
 はじめに、民間活力導入の例として、県立高校と民間の教育機関である専修学校が連携を図っている旨、教育長から答弁をいただいたところであるが、その内容について具体的に教えていただきたい。

答  弁(高校教育課長)
 民間の教育機関である専修学校との連携については、専門性の高い内容や興味・関心を深める教育内容を充実することができるよう多様な学習機会の拡大の一環として取組みを進めているところである。平成14年度には、高校3校と、4校の専修学校が連携しており、5講座で合計37名の生徒が受講、15年度は、高校5校と、8校の専修学校が連携しており、9講座で合計68名が受講するなど増加の状況にある。
 具体には、横浜桜陽高校が横浜リハビリ専門学校と岩崎学園情報科学専門学校、YMCAスポーツ専門学校と連携し、福祉分野の「作業療法概論」、情報分野の「HTML入門」や、「接待マナー」といった講座で受講しているのをはじめ、東金沢高校では聖が丘教育福祉専門学校と、藤沢高校が岩崎学園情報科学専門学校と連携し、受講した生徒に対しては高校としての単位を認定している。
 また、単位認定を伴わない連携では、藤沢高校、伊志田高校が実施している。このような専修学校と連携した講座を受講することにより、生徒にとって学習内容がどのように発展していくかを知ることや、高校では扱えない専門的な内容を学ぶことができ、また、専修学校の雰囲気や、学生の様子を肌で感じることができ、進路を考える際の参考となる、ととらえている。  

質  疑
 具体的には、どのよう形で授業を受けるのか。

答  弁
 生徒が専修学校へ行って授業を受けることを基本としている。

質  疑
 授業を受けている生徒の感想や印象を聞いていれば、教えてほしい。

答  弁
 生徒の声を直接聞いてはいないが、校長を通じて聞いているところによると、特殊な専門的分野において奥の深いものを学ぶことができ、好評であるとのことである。

質  疑
 今後はどのように進めていくのか。

答  弁
 現在、各高校は特色を踏まえて各専修学校と協定を結んでおり、こうした取組を支援していきたいと考えている。

質  疑
 単位認定する高校としない高校があるが、このばらつきがあるのはなぜか。

答  弁
 こうした取組を「校外講座」という科目名称で設定しているが、各学校でカリキュラムにどう位置付けるかは、学校長の判断となっている。 

質  疑
 民間人校長についてはすでに2名登用とのことであるが、その成果に期待しているところである。県立高校改革を進める中で、どのようなスタンスで登用したのか。

答  弁(教職員課長)
 平成12年4月より免許がなくとも校長になれるようになった。県立高校改革の中で、特色づくりや新しいタイプの高校においては、校長の役割は大きいものと考え、優れた資質を持った人材を登用し、行政内部では得られないノウハウ登用活かしてもらいたいと考えている。

質  疑
 現段階での成果の把握状況はどうか。

答  弁
 一人は11月に清陵高校に赴任し4月の開校に向け準備をしているところであり、教育上の効果はこれからというところであるが、企業の研修担当の活用等、民間での人脈等を活用し準備を進めている。また、学校経営の視点を明確にし、スクールアイデンティティ、顧客第一主義といった新しい発想での取組を行っている。

質  疑
 後期計画でも、人材登用は大切なことと考えるが、今後の登用はいかがか。

答  弁
 どのような学校への登用が有効か検討していきたい。すぐれた人材を幅広く求めることが必要であり、民間に限らず、また分野も広く登用していきたい。

質  疑
 県立高校改革の後期実施計画の策定に当たっては、民間活力を生かす工夫の他に、平成15年度に開校した新しいタイプの高校の検証など、前期実施計画の検証を行った上で、後期実施計画を策定していく必要がある。平成15年度に開校した新校について、新入生へのアンケート等を実施すると聞いているが、現在、どの程度、進んでいるのか、その状況について伺いたい。

答  弁(県立高校改革推進担当課長)
 平成15年4月に開校した新しいタイプの高校5校の状況について、把握し、今後、策定する後期実施計画の検討に生かしていくことが重要であることから、新入生を対象としたアンケートを12月に実施し、新校を志望した理由や、教育活動等の満足度などについて、9割を超える生徒から回答をいただいた。さらに、新入生の保護者に対するアンケートをこの2月に行い、集計しているところであり、また、学校評議員や地域の方々にも、意見を聞きたいと考えている。

質  疑
 新校の新入生へのアンケートの結果は、どのようなものであったか。

答  弁
 横浜桜陽高校と相模原総合高校では、、新校を志望した理由について、単位制高校の横浜桜陽高校では、8割を超える新入生が、「自分の興味、関心のある幅広い選択科目が選べるから」といった単位制の特色をあげており、相模原総合高校では、「将来の生き方や進路について目的を持ち、考えることができるから」という総合学科の特徴をあげる生徒が多くいた。また、入学後も、「幅広い授業時間帯の中から自分の学習ペースに合わせて学ぶことができる」といったフレキシブルスクールの特徴を活用していると横浜桜陽高校の多くの生徒が答えており、相模原総合高校では、「普通科目と専門科目の中から科目を選択して学ぶ」といった総合学科の長所を活用していると答えた生徒が7割程度いた。
 こうしたことから、単位制などの特色を承知したうえで入学していることや、入学後も新タイプ 校の仕組みを活用していると考えており、また、新タイプ校で展開される多様な教育活動について、調査を行った5校全ての学校で、7割 から8割の生徒から「満足している」または「概ね満足している」との回答をいただいている。新タイプ校は、生徒のさまざまな希望や学習ニーズに応えているのではないかと考える。

質  疑
 良くなかったというマイナスの回答もあったのでないかと思いますが、いかがか。

答  弁
 例えば、「思っていたほど、選択の幅がない」とか、「授業の進展が早くない」、あるいは、「クラスがないため、友達が作りにくい」と言った意見や、先生に対する不満も一部にはあった。

質  疑
 新しいタイプの高校が増えつつあるが、普通科高校についても良さがあると思う。普通科高校の良さについては認めるか。

答  弁
 普通科教育、専門学科の教育については、それぞれ良さがある。普通科は、専門学科と比べてかつて特徴はなかったが、特色づくりを進める中で、一定の評価をいただくようになってきていると考えている。

質  疑
 最近は特色づくりが強調されているが、まず、普通科の部分をしっかり踏まえた上で取り組むことが大切であると思う。今回の満足度調査をしっかり精査してもらいたい。

答  弁
 普通科や専門学科などそれぞれ生徒が進んだ先で、充実した高校生活を送り、満足感をもって卒業してもらいたいと考えている。

質  疑
 新校の新入生の保護者や学校評議員の意見は、どのようなものか伺いたい。

答  弁(県立高校改革推進担当課長)
 新入生の保護者の方々に新校を志望した理由を聞いたところ、単位制など新校の特色を承知した上でお子さんが受検されたと回答された方が、生徒と同様に一番多く、また、新校に期待することとして、「個性的な生徒を集めて、活躍できる人材を育成していただきたい」とか、「新校は再編対象両校の良さも引き継いでいるので、今後も革新と伝統をバランスよく保ってほしい」、あるいは、「自己責任、自己判断が求められる時代なので、判断力、創造力が身に付く教育に期待したい」といった意見をいただいた。また、新タイプ校で展開される多様な教育活動について、調査を行った5校全ての学校で、「満足している」または「概ね満足している」との回答を保護者の80%程度からいただいたことから、新校は保護者の期待にも応えているものと考えている。学校評議員や地域の方々からは、まだ、回答を集めているところであるが、「再編統合はスムーズに進んでおり、落ち着いた雰囲気がある」とか、横浜南陵高校では、授業で伺っている地域の福祉施設の方から、その施設の活動に多くの先生、生徒が参加したくれたといった話を聞いている。


質  疑
 保護者の方々からも、マイナスのご意見があったのでないかと思いますが、いかがか。

答  弁
 保護者の方からは、「子どもの学校内での生活は、子どもから聞くだけなので、知る機会があればと思う」とか、「生き生きとした子ども達が通える学校にしてほしい」あるいは、「クラスがまとまる目標が持てるイベントを行い、思い出をつくってほしい」といった意見があった。

質  疑
 失敗から学ぶことが大事である。こうした新校の状況など教育面の検証とともに、県財政の状況を踏まえ、施設整備面での検討を十分に行った上で、後期実施計画を策定すべきであり、時間をかけて検討していく必要がある。教育は、直ぐには成果が現れないし、はじめは悪くても、だんだん良くなっていくこともあります。後期実施計画の策定に向け、どのように考えているのか伺いたい。

答  弁(県立高校改革担当部長)
 施設整備面について、前期実施計画では、新しいタイプの高校への再編に併せて、施設の耐震・老朽化対策も行っており、450億円程度と見込んでおりましたが、結果として、300億円程度で収まりそうである。これは、建替えについて、当初の6校を3校に見直したことにもよるが、建替えと老朽・耐震対策で、事業費の3分の2程度を占めている。
 後期実施計画の策定に当たっては、平成14年12月に策定された県有施設の長寿命化指針を踏まえ、既存施設を最大限活用してまいりたいと考えている。また、新しいタイプの高校の設置数は、平成11年度に策定した高校改革の全体計画では、当初、41校を考えており、前期で19校設置いたしますので、残りは22校となりますが、来年度から学区も廃止することから、22校に拘るのではなく、通学範囲や地域バランスを考えながら、検討してまいりたい。また、収支バランスについても考えていく必要があり、売るために統合を行うわけではないが、跡地収入も視野に入れていく必要があると考えている。なお、教育面では、新しいタイプの高校の機能をどう生かしていくのか、引き続き、フォローしてまいりたい。子ども達のため、高校改革を進めてまいりますが、後期実施計画の策定に向け、財政状況も視野に入れ、検討してまいりたいと考えている。

3/19
〈登下校時における安全対策について〉
質  疑
 養護学校ではスクールバスや親の送迎ということもあるが、高等部生徒の自力通学時の安全確保も大切である。学校としては自力通学を奨励しているのか。

答  弁(障害児教育課長)
 就労を考えると必要であり、また生活範囲もひろげることになることから、極力進めており、保護者との連携によれ中学部から自力通学を進めている。

質  疑
 最近の事件・事故を考えると安全対策がより細かくされるべきと思う。通学距離もあり、安全対策はどうなっているか。

答  弁
 最寄り駅から学校までは、年度当初に教員がその間にある商店等を訪問し、トラブルの防止も含めて話をしている。また、鉄道会社に対しても、最寄り駅を通じて安全確保・トラブル防止について協力依頼を行っている。また、最寄り駅駅長を学校評議員に依頼し、細かなお願いしているケースもある。自宅から駅までも、保護者にお願いし、その経路にある商店等に話をしてもらっている。

要  望
 きめ細かな対応をしてもらっているようで安心しているが、こうした配慮・支援はし過ぎることはないと思うので、よろしく願う。社会自立と安全対策の両立に向け努力されたい。

〈養護学校卒業生の進路について〉
質  疑
 知的障害養護学校卒業生の17.2%が企業就労したとの話があったが、県内の法廷雇用率未達成企業は1620社あり、また東京労働局では9000社の未達成企業を開示したとのことである。何とか良い方向にもっていく必要があると思うが、職業能力開発機関は県内にもあり、これらから就労につなげる必要もあると思う。これら機関との連携はどのようになっているか。

答  弁
 相模原にある神奈川障害者職業センター・神奈川障害者職業能力開発校、伊勢原にある神奈川障害者職業能力開発センターの3つがあるが、神奈川障害者職業センターでは、養護学校を卒業するに当たっての移行支援とジョブコーチの各校への派遣を行ってもらっている。なお、神奈川障害者職業能力開発校は卒業後の進路先として、また、神奈川障害者職業能力開発センターについては、高等部だけでなく中学部・中学校特殊学級からの進学先にもなっている。福祉サイドとしては、県内11箇所に障害者就労援助センターがあり、就労そのもの及び就労後のフォローアップもしてもらっている。

質  疑
 神奈川障害者職業能力開発センターは3セクということもあり、民間活力を利用できるとともに、受け入れ側の企業も参加しているということはすばらしいと思う。
本年3月卒業生の就職状況はどうか。

答  弁
 これから決まる子もおり、2月末の仮集計であるが、知的障害養護学校高等部590人中、105人17.8%が就労が内定している。これは昨年同様であるが、雇用側の考え方も変わってきていることから、伸びが予想されているという状況である。

要  望
 現実は厳しいと思われることから、更なる改善の努力をお願いしたい。養護学校の訓練、職業能力開発機関の研修が生かされる職場への就労という点については疑問もあるが、数字の面だけでなく、中身の充実にも努力願いたい。

神奈川県議会議員
しきだ博昭


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