2月26日(木)一般質問をしました。


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  Report No.58(2004/03/21UP)
 平成16年2月26日に一般質問を県議会において、質問をさせていただきました。
 下記にその質疑概要を掲載致します。
 質疑は、まずすべての質問を行い、知事または関連する責任者の方に答弁していただくものですが、1問1答での掲載としています。
はじめに
 議長のお許しをいただきましたので、私は、自由民主党県議団の一員として、通告に従い、これより、数点にわたり、質問をさせていただきたいと思います。
 冒頭、質問に入ります前に、一言、申し上げたいと存じます。
 今日、ここに、歴史と伝統ある神奈川県議会において、初質問の機会をお与え下さいました先輩・同僚議員の皆様に、心から感謝申し上げます。と同時に、私をこの場にお送り下さいました地域の心ある大勢の皆様に、改めて厚く御礼を申し述べる次第であります。
 私の選挙区である都筑区は、平均年齢35.8歳という極めて若い区であります。
 私も、様々な刺激と心地よい緊張感の中で、日々、活動を続けております。
 こうした中で、私が常日頃、考えておりますこと、特に、今の政治に求められるものは何か、それは、変化の著しいこの時代にあって、時の流れを的確につかむ感性、そして、その変化に対応しうる柔軟性、しっかりとした時代認識と当事者意識、失敗を恐れず何事にも果敢に挑戦する勇気と、その勇気に裏打ちされた行動力であると思います。
 これからも、こうしたことを念頭に置きながら、神奈川県議会議員の一員としての誇りと責任と自覚をもって、870万県民のニーズと時代の要請に応えるべく、また、私たちと私たちの後に続く世代のために、更なる努力をここにお誓いいたします。

 それでは、これより、順次、提言を交えながら、質問をさせていただきます。

 知事、警察本部長並びに教育長におかれましては、明快なご答弁をよろしくお願いいたします。

 また、先輩、同僚議員におかれましては、しばらくの間、ご静聴のほど、よろしくお願い申し上げます。
(1 安全・安心のまちづくりについて)
  @ 基本的考え方について

 質問の第1は、安全・安心のまちづくりについてお伺いいたします。
 まずは、県民が安心して暮らせる犯罪のないまちづくりに向けた県の取組み方向についてであります。
 昨今の犯罪発生状況を見ますと、昨年一年間で、県内の刑法犯認知件数は約18万6千件であるのに対し、検挙件数は約4万件、率にして21.5%となっています。
 この数字は、刑法犯認知件数が戦後最悪となった平成14年と比較して約4千件減少する一方で、検挙率は2.3ポイント上昇しております。このことは、これまでの警察本部における地道な犯罪抑止に向けた取組みや犯罪検挙、取り締まりの強化が、一定の成果をあげたものと評価いたしております。しかしながら、犯罪発生件数は10年前の平成5年の約1.65倍という依然として高い水準にあり、まだまだ予断を許さない状況と言えます。
 また、犯罪発生件数全体が多少減少したとはいえ、身近な日常生活の中で県民だれもが被害に遭うおそれのある、「空き巣」、「忍び込み」、「自動車盗」の犯罪発生件数は逆に増加しております。
 さらに、いわゆる「オレオレ詐欺」などといった新たな手口の犯罪も発生するなど、犯罪の巧妙化といった、誠に憂慮すべき状況も続いております。
こうした状況は、私の選挙区である都筑区においても同様であります。具体的に申し上げますと、昨年10月に横浜市が実施した市民意識調査において、市民が行政に、充実を求める項目の第一位に、初めて「防犯対策」が挙げられました。それまで18年連続してトップであった「高齢者福祉」を抜いて、「防犯対策」がトップになったことからも、治安対策に対するニーズの高さが伺えます。
 住民からの、治安回復、安心して暮らせる地域社会に向けた行政の取り組みへの期待が、如実に表れたものと考えます。
 都筑区は、港北ニュータウンという大規模新興住宅地を抱えており、区民の平均年齢が、冒頭申し上げましたとおり、35.8歳、しかも、15歳未満の子供たちの占める割合が約20%といった、大変若い、いわば子育て・教育世代の多い地域であります。
 このため、幼児、児童など小さな子供のいる家庭が多く、児童の連れ去りや学校への不審者の侵入などといった最近の報道に対しては、身近な問題としてとらえ、多くの住民から不安の声が出ているのも事実であります。
 犯罪のない「安全で安心なまちづくり」を進めていく上では、こうした地域の実態や県民の声を受け止めた、実効性のある施策が是非とも必要であると考えます。
 こうした中、県は「安全・安心まちづくり推進本部」を設置して、全庁的な推進体制を整備し、犯罪のないまちづくりに総合的に取り組んでいくこととしたことは、時宜を得たものと評価いたしておりますが、県民の不安感、治安回復に向けた期待の高さを真摯に受け止め、今後、実効性のある施策の構築に取り組んでいただくことを、切に要望いたします。

 そこで、知事に伺います。
 治安を回復し、安全で安心なまちづくりを実現していくため、条例の制定をはじめとして、どのような考え方、あるいは理念を持って取り組んでいこうとしているのか、知事の決意を含め、改めてお伺いいたします。


 A 効果的な防犯体制整備について

 次に、効果的な防犯体制についてお伺いいたします。

 先ほども申し上げました、港北ニュータウンに代表される大規模新興住宅地は、日本全国のあらゆる地域から多くの人々が集まってきており、各家庭において日常生活が営まれております。
 大規模新興住宅地は、長い年月をかけて計画的に整備が進められることから、広くかつ整備された公園など、美しい景観や魅力ある街並みが形成されており、こうした良好な環境が、人々にこの街に住みたいという気持ちを抱かせ、さらに人が集まり、街はさらに便利になり、また人が集まる、といったことにつながっております。
 しかし一方では、多くの人が集まる地域は、残念ながら、犯罪も多く発生するのが現状ではないかと思います。さらに、最近では新興住宅地に限らず、「人と人とのつながりが希薄」であると言われており、隣り近所がお互いの状況や異変を感じ取りにくいといったことが生じております。まさに、現代社会自体が、「人間関係の希薄化」の中で進展しており、こうした点が現在、県警察が取り組んでおられる各種防犯対策を、一層難しいものにしている要因の一つであると言えます。
 これまでも、県警察では、県下の犯罪発生状況に応じ、地域を特定しての防犯対策を講じているものとは思いますが、これら対策の結果を検証して、その結果について、今後の各種防犯活動に反映することも、効果的な防犯活動を進める上で、大変重要ではないかと考えます。

 そこで、警察本部長にお伺いいたします。
 現在、県警察が取り組んでいる地域を特定しての防犯対策の取り組み状況と、この対策の検証結果をどのように反映していくのか、ご所見をお伺いいたします。


 B 歩行者専用道路等における安全対策について
 
 さらに、都筑区の現状から、交通問題について触れさせていただきたいと思います。

 都筑区は、ご存知のとおり、横浜市の北部に位置し、平成6年11月6日に港北区と緑区の再編成により誕生し、今年で、ちょうど10年目を迎えるところであります。
区の人口も、本年1月1日現在、約17万1千人となりました。また、先ほども申し上げましたが、平均年齢は市内で最も若く、今後とも人口の増加が予想され、まさに活力ある地域として、その成長が期待されているところであります。
都筑区の中でも、港北ニュータウン地域は比較的、道路整備が進み、歩行者の安全面に配慮し、「歩行者」と「車」を分離する、いわゆる「歩車分離」が徹底されるなど、計画的な街づくりが進められております。また、このニュータウン内には、総延長31キロにも及ぶ歩行者専用道路があり、とりわけ、駅や学校の周辺を中心に整備されております。
しかし、本来、歩行者が安心して歩けるはずの歩行者専用道路において、順法精神に欠ける一部の心ない者により、バイクが、我がもの顔で走行しているといった状態がしばしば見受けられ、安心して歩けるはずの歩行者専用道路で、歩行者が道路の隅に追いやられる、といった憂慮すべき事態が発生しております。
 このため、道路管理者においても様々な方法により、歩行者専用道路でのバイク走行を禁止する施策を行っておりますが、容易に道路への侵入が可能なことなどから、残念ながら抑止効果はあまり見られません。やはり警察主導による道路交通法を根拠とした公安委員会規制の実施が望まれるところであります。
 歩行者専用道路は、通勤・通学をはじめ多くの方々の徒歩による生活道路として、安心して利用できることが大前提であるということは、今さら申し上げるまでもございません。港北ニュータウン地域以外にも、県下には相当数の歩行者専用道路が設置されていると聞いております。しかし、各地域においてバイク走行の禁止が徹底されているのかどうか、はなはだ疑問に感じているところであります。

 そこで警察本部長にお伺いいたします。
 これまでのように道路管理者による「道路法」を根拠とした規制だけではあまり大きな効果は期待できないと考えます。県民が安心して歩くことができ、憩いの場ともなっている歩行者専用道路の安全を確保するため、「道路交通法」を根拠とする規制についてはどのように考えているのか、また、歩行者専用道路における安全をどのように確保していこうとしているのか、併せて、警察本部長のご所見をお伺いいたします。
(松沢 成文 知事答弁)
 しきだ議員のご質問に順次お答えをいたします。

 はじめに、安全・安心まちづくりについて、まず、考え方、理念についてのお尋ねをいただきました。
 議員から横浜市が実施した調査をご紹介いただきましたが、先月、1月30日に発表させていただきました、安全・安心まちづくりについての県民意識調査の結果を見ましても、多くの県民の皆さんが、治安状況が悪くなっていると感じており、また、身近な犯罪への不安感が高まっていることが明らかになっております。
 私は、こうした県民の皆さんのお気持ちを受け、治安の回復、犯罪のない安全で安心なまちづくりへの取組みの必要性を痛感するとともに、犯罪を許さない、見逃さないという強い意志を持って、この問題に県をあげて取り組んでいく必要があるという思いを、改めて強くしたところでございます。
 そこで、現在ご提案させていただいております平成16年度当初予算におきましても、「県民生活の安全・安心の確保」を、三つの重点的な取組みの一つに掲げ、犯罪のない安全・安心まちづくりを全力で推進しようと考えております。
 改めて申すまでもなく、犯罪を抑止していくためには、まず、一義的には警察による犯罪の取り締まりを強化することが最も効果的でございますので、警察官の増員や専門能力の向上など、警察力の強化に、引き続き最大限の力を注いでまいりたいと考えております。
 一方、犯罪の発生そのものを予防、抑止していくためには、警察官による取り締まりと併せて、県民の皆さん一人ひとりが、日常生活の中で防犯意識を持って、犯罪の被害に遭わない、あるいは犯罪を起こさせないような工夫と取組みを行うことによって、地域全体の防犯性を向上させていくことも、大変重要であると考えております。
 そこで、警察本部をはじめ、県、市町村、関係団体・NPO、さらには住民、事業者の皆さんが、それぞれの役割に応じて、一致協力して取り組んでいくための規範として、条例の制定を目指すとともに、地域での実践的な活動が、より行いやすくなるように、情報の共有化や活動の仕組みづくりなどに努めてまいりたいと考えております。
 そして、犯罪のないまちづくりの取組みを、県民の皆さんのご理解、ご協力を得ながら、県民総ぐるみで推進し、県民の皆さんが安心して暮らせる地域社会の実現を目指してまいりたいと決意しているところでございます。
(末綱 隆 警察本部長答弁)
 まず、現在、県警察が取り組んでおります、地域を特定しての防犯対策と、その検証結果の反映などについてお答えをいたします。

 しきだ議員御指摘のとおり、犯罪多発地域あるいは増加する罪種等を指定して、集中的な犯罪抑止対策に取り組むことは、極めて有効でありますし、そのようなきめ細かな対策こそ地域の隅々にまで浸透する効果があると考えています。
 県警察といたしましては、一定の地域を小さな網の目状に細分化し、その地域での発生している犯罪を抑止するため、集中的な防犯対策として、いわゆる「地域メッシュ防犯活動」を、平成6年ころから重点的に取り組んでいるところであります。
 また、特に昨年1月からは、犯罪の増加、とりわけ地域住民の方々が身近に不安を感じておりますひったくりや路上強盗等の街頭犯罪や空き巣など侵入犯罪の抑止を図るために、県警察の総力を上げまして、「街頭犯罪等抑止総合対策」を推進しているところでありますが、この「地域メッシュ防犯活動」も、この総合対策の中で効果的な施策のひとつとして取り入れたところであります。
 こうした活動は、警察が主体的に取り組む防犯活動のほか、
  ・自治体であれば、防犯対策としての環境整備
  ・地域住民の方々であれば、連帯意識を高めていただくための地域コミュ   ニティの形成
  ・あるいは、事業者の方々であれば、防犯設備の充実等による安全対策
など、それぞれの立場において、その役割を果たし、推進していただくことが大変重要であるとも考えております。
 犯罪の抑止効果というものは、一時的なものではなくて、地域の共同体意識を強くしていくことによりまして、自然と芽生えてくるものでありますから、このような地域に密着した地道な活動を進めることが、今後の犯罪の抑止力となっていくものと思います。
 したがいまして、安全・安心まちづくりの取り組みの中で、これらの活動をより詳細に検証・分析し、効果があると思われる施策については、犯罪の発生状況が類似する地域においても取り入れるなど、県下全域に展開するよう今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に歩行者専用道路における歩行者の安全を確保するための交通規制についてお答えいたします。
 道路管理者は、道路の使用を開始する場合に道路法に基づきまして歩行者専用道路として指定する権限を持っております。
この道路管理者が指定した歩行者用の道路をバイク等が走行した場合には、まず、道路監理員による是正措置命令が取締りの前に必要とされますことから、取締り上の難しさもありまして、道路法による指定だけでは大きな効果が期待できないことは議員ご指摘のとおりであります。
したがいまして、バイク等の乗入れ防止の効果を上げるためには、道路交通法に基づきまして、公安委員会の権限として規制した上で取締りをするのが効果的であります。
そこで、今までも交通上の危険性があり、取締りの必要性の高い場所については道路管理者と協議した上でこの道路を公安委員会が改めて歩行者用道路として規制し、取締りができるようにして、歩行者等の安全の通行を確保してきたところであります。
 県警察といたしましては、バイク等の乗入れにより歩行者が危険にさらされるようなことのないよう、今後とも必要な箇所には公安委員会の規制を積極的に実施して参りたいと考えております。
 また、その他にも乗入れ防護柵の設置など歩行者の安全を確保するための諸対策を同時に道理管理者との連携を図りながら、推進して参りたいと考えております。
(2 学校における安全対策について)
 質問の第2は、学校における安全対策についてであります。

「学校における安全対策」といってまず思い起こされるのは、何と言いましても、平成13年6月に発生した大阪教育大学付属池田小学校の事件であります。
 この事件は、本来安全であるはずの学校で、しかも教室の中で児童が次々と殺傷されるという極めて残忍非道な事件でありました。
 この事件は、将来ある8人の子供たちの尊い命を奪ったばかりでなく、ご遺族の心に深い悲しみをもたらしました。また、逃げ惑う多くの友だちが、次々と刃物で刺されていくといった凄まじい光景を目の当たりにした子供たちの心に、深い傷跡を残し、同時に、私たち多くの国民に、犯人に対する強い憤りと、大きな衝撃を与えた事件として記憶に新しいところであります。
 この事件により、かけがえのない尊い命を落とされた方々に、謹んで哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。また、事件に直面し、一瞬のうちに友だちを失ってしまった子供たちが受けた心の傷が、一日も早く癒えることを、ただ、ただお祈りする次第であります。
 今なお、決して癒えることのない深い悲しみと向き合いながら日々生活されておられるご遺族の心中をお察しいたしますとき、まさに言葉がございません。
 私も、事件の概要を改めて把握したいと思い、宅麻被告の初公判における「冒頭陳述」に目を通しました。
 事件のあまりの凄惨さに改めて衝撃を覚え、また、わが子を守ってやることのできなかった保護者の方々の無念さ、そして非道な犯人によって切り付けられた激痛の中で、私たちの想像をはるかに超える恐怖心と闘いながら、遠のいてゆく意識の中で子供たちは何を思ったのか、それぞれの夢と希望を果たしえぬまま旅立たざるを得なかった子供たちの無念さに思いを致すとき、心が痛み、なかなか読み進めることができませんでした。
 理不尽な事件に巻き込まれた遺族の方々が、犯人に対する憤りと、最愛のわが子を失ってしまった悲しみの中で、こうした事件が二度と起こらないよう、もうこれ以上、夢と希望にあふれる輝かしい子供たちの将来が、このような事件によって閉ざされることのないよう、学校の安全対策について各方面に様々な提言や働きかけをされているお姿に心を打たれます。
 こうした活動が同年代のお子さんを持つ多くの保護者の共感を得て、また、文部科学省や全国教育委員会、あるいは学校等が、その必要性を認識し、学校の安全管理のためのマニュアルの作成や、校門等の施錠、あるいはフェンスの設置など、不審者の侵入防止に向けた取り組みが進められていることを、私も承知いたしております。
 しかしながら、こうした中、本県においても、昨年10月には、横浜市内の小学校に刃物を持った男が校舎内に侵入するという事件が発生いたしました。幸い、副校長と教職員が、一丸となった勇気ある行動と対応により、児童をはじめ教職員に一人のけが人も出すこともなく大事には至りませんでした。しかし、県内でこのような事件が発生したことについては、強い危機感を覚えたところであります。
 警察庁によりますと、幼稚園や小・中学校、大学などの学校内で発生した犯罪の件数は年々増加しているとのことであります。
 具体的な状況を示しますと、学校への侵入事案は平成11年には1042件でありましたが、平成14年には2168件と、4年間で実に2倍を超える状況となっております。
 また学校のみならず、登下校中において児童・生徒に危害が加えられるという事件が、本県も含め全国各地で後を絶たない、といった状況もあります。
 私のところには、小さなお子さんをお持ちの保護者の方々から、学校や登下校中の安全について不安を訴える声が数多く寄せられており、私自身も「子供たちの安全確保」が喫緊の課題であるという認識を持っております。
 とは言え、子供たちを守るために、門扉は閉ざされ、フェンスが張り巡らされた学校の中で、『人を見たら泥棒と思え』といったような教育がなされることを望む保護者は一人もいません。
 地域に開かれ、地域の方々に温かく見守られ、保護者や学校の先生から注がれる深い愛情とともに、豊かな人間性が育まれ、子供たちが健やかに成長していくことを誰もが望んでいるはずであります。
 学校の安全管理の問題については、とりわけ、弱者である小学校の児童の安全を確保することが課題であり、この課題については、設置者である市町村教育委員会が責任を持って取り組むべきものであることは、私も承知いたしております。
 しかしながら、県教育委員会においても、学校への不審者侵入対策にあたっては、市町村教育委員会を通じて、教職員の危機管理意識を高めていくことにつとめ、また、登下校中の通学路については、学校関係者の目が届きにくいといった状況を考慮し、警察や地域と連携した取組みを県下に普及し、児童・生徒の安全確保に万全を期していかなければなりません。

 そこで、教育長にお伺いいたします。
 児童・生徒の安全を確保するため、県教育委員会としては、学校における不審者侵入対策などの安全管理や、通学路における児童生徒の安全確保について、今後どのように取り組んでいくのか、教育長にご所見をお伺いいたします。
(曽根 秀敏 教育長答弁)
教育関係について、お答えをいたします。
 学校及び通学路の安全対策に関するお尋ねがございました。まず、学校の安全管理についてでございます。
県教育委員会といたしましては、お話のありました大阪教育大学附属池田小学校の痛ましい事件を教訓として、各学校が不審者侵入時等に対応するためのマニュアルを作成する際の指針を、市町村教育委員会に配布したり、研修会等で安全管理に対する意識啓発を図るなどの対策を講じてまいりました。
しかしながら、昨年11月に実施した県内の学校の安全管理に係る調査では、マニュアルは大半の学校で作成しているものの、実践を想定した防犯訓練等、具体的な取組みは、必ずしも十分とは言えない状況でございました。
 こうした状況を踏まえ、各学校において、児童・生徒を守るための防犯訓練等を定期的に実施し、この訓練を通して、教職員の危機管理意識の高揚を図るとともに、マニュアルの実効性について不断に検証するよう、市町村教育委員会に要請いたしたところでございます。
また、防犯に関する心構えについての講話、防犯や応急手当等についての訓練などを実施する防犯教室を県内全ての学校が開催するよう、働きかけてまいりますとともに、防犯教室の指導者につきましても、講習会を開催するなどの養成に努めてまいります。
次に、通学路における安全対策についてでございます。
通学路において、児童・生徒の安全を確保するためには、学校だけでなく保護者や地域の方々などの協力、連携が不可欠でございます。
すでに、一部の地域では、教職員と保護者や地域の方々のご協力による通学路の見回りなどが行われておりますので、こうした取組みが広がるよう、神奈川県PTA協議会などに協力を働きかけてまいりたいと考えております。
こうした取組みと併せ、昨年11月に全庁的な組織として発足いたしました、「安全・安心まちづくり推進本部」の活動を通して、警察などの関係機関と連携を強化するとともに、
市町村教育委員会とも協力しながら、学校及び通学路の安全対策の充実を図ってまいりたいと考えております。
(3 市民農園と都市地域における緑の保全について)
 質問の第3は、「市民農園と都市地域における緑の保全」についてお伺いいたします。

 言うまでもなく、農業は、新鮮で安全な農産物の供給のみならず、生活に潤いとやすらぎを与える花や緑を提供するほか、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承、あるいは、レクレーションの場、防災空間としての機能など、多面にわたって私たちの生活に大きな役割を果たしています。
 本県は、身近に大消費地を持つという特徴を生かし、野菜や果樹、花きなどを中心に多様な農業が営まれておりますが、近年では、産地間競争の激化や、農業従事者の高齢化と後継者不足、農地面積の減少や有休農地の増加といった課題も抱えております。
 また、緑地や自然環境の保全といった観点から見ましても、たとえば、横浜市における樹林地や耕作地、個人住宅の庭木や芝生などの緑の占める割合、いわゆる緑被率は、昭和50年(1975年)には45%であったものが、平成13年(2001年)には31%にまで減少しており、都市部における緑の減少は、極めて深刻な状況であるといえます。
 平成14年度に県が実施した、県政モニター課題意見の調査において、「花や緑とのふれあい」を「増やしたい」、「今後余裕ができたら増やしたい」との回答を合わせると、実に93.3%の方が、花や緑とのふれあいを望んでいるという結果が出ております。
 また、現在は空前のガーデニングブームに象徴されるように、土や自然に親しみたいという希望が多く、このブームの根底には、潜在的な土いじりや自然との関与を求める気運の高まりがあるものと認識しているところであります。
 そこで、都市生活者が土と触れ合える場として注目を集めているのが市民農園であります。
 市民農園は、都市住民やサラリーマンなど、農家以外の人に農地を提供し、農作業をしながら土や自然に親しんでもらい、地域の人々との交流を通して、農業を取り巻く現状を理解してもらうことや、地域の活力を高める、といった様々な利点があります。
 また、都市住民を中心に野菜や花の栽培など手軽に農作業ができる場として注目され、需要も高まっているほか、近年は、遊休農地の解消策の一つとしても着目され、全国的に市民農園の開設が増えております。
 さらに最近では、野菜や花づくりなどの農作業を通じての健康づくりや、癒しの効果を求める園芸セラピーの考え方や、高齢者や体の不自由な方々をはじめ、誰もが利用できるよう配慮したユニバーサルデザインの考え方を取り入れるなど、社会環境の変化や利用者の新たなニーズに応えられるよう工夫を凝らしたものが増えてきております。
 一方、海外に目を転じますと、300年の歴史のある本場ドイツでは、クラインガルテンと呼ばれる市民農園が、地域コミュニティーの中心的役割を担い、人と人とのつながり、人と自然とのつながりを保つシステムとして、社会に根付いており、都市計画の中にも明確に位置づけられております。
 無駄がなく極めて合理的な「ローコスト・ハイクオリティー」といったドイツの環境デザインの考え方の象徴として、国内の隅々にまで浸透し、心豊かで健康で文化的な国民生活に欠くことのできない存在となっております。
 さらに内閣府が毎年行っている「国民生活に関する世論調査」によりますと、「これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」と答えた人が、昨年は、実に、6割にのぼり、「まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい」と答えた人の2倍に達しております。
 「物質的な豊かさ」から「心の豊かさ、ゆとり」といったものに人々の価値観が変化してきていることが伺えます。
 21世紀は「心の豊かさ」や「ゆとり」が重視される時代といわれ、「スローライフ」といった言葉も流行しております。ガーデニングや市民農園など、身近な園芸活動や農村文化とのふれあいを望む都市生活者の、土や自然との触れ合いを望むニーズは、ますます高まりを見せており、これらに応えていくことが、今、求められていると思います。
 さらに、こうした都市生活者の市民農園への関心の高まりは、新たなビジネスチャンスとして捉えることもできます。
 次世代への投資として、また県民生活基盤整備事業として捉えながら、市民農園の整備に県が本格的に取り組んでいくことにより、様々な産業分野への波及効果が期待されると考えます。
 市民農園コーディネーターやプロの栽培指導者が必要となることはもちろん、漬物やジャムづくりなどの指導や、春にはガーデニングフェア、夏にはバーベキュー大会、秋には収穫祭を開催するなど、常に利用者と地域の人々を楽しませるための企画やアイデアが今後求められていくものと思われます。
 たとえば、市民農園の周りや歩道沿いに記念樹を植えられるようにし、子供や孫の誕生祝いや、入学・卒業祝いなどに記念樹を植えていただくことにより、施設整備等に費用をかけることなく、地域に緑を増やすこともできます。
 このような民間資本、民間活力、民間人材を積極的に活用していく民間主導型の、自由で多角的な市民農園の整備が望まれるところであり、民間ならではの発想を取り入れ、こうした発想を生かすシステムを構築する取り組みを後押しする形で「神奈川らしさ」を存分に発揮していただきたいと思います。そして、これが、一つの新しい公共事業の姿ではないかと私は考えます。
 先ほど、犯罪抑止について質問して参りましたが、私は、この市民農園は犯罪抑止にも役立つものだと考えております。
 市民農園は、地域に潤いを、人々に安らぎを与えてくれるだけでなく、子どもたちが、命の尊さや自然の美しさ、神秘さに気づき、また新たな発見に出会う喜びを感じながら、豊かな感受性と思いやりが育まれる情操教育の場として、そして、なによりも、多感な子ども時代に草花や昆虫などの動植物をはじめ、この地球上のすべての生きとし生けるものの「命」を手にとって見つめるといったかけがえのない機会を与えてくれます。このことは、子供たちの人格形成上、きわめて重要であると思うのであります。
 また、子供と一緒に農業体験を行うことにより家族のコミュニケーションも増えてきます。
 私は、自然を慈しみ生命の尊さ知ることで、少年犯罪の未然防止や犯罪の低年齢化に歯止めをかけていくことにもつながるものと考えます。

 そこで知事に伺います。
 農家の後継者不足の解消、遊休農地の有効活用、緑地の保全、地域交流の拠点、家族のコミュニケーションの場、地域の活性化、観光資源としての潜在力、新ビジネスの育成、そして、子どもの情操教育、あるいは環境教育の場、など、これまで申し述べましたように、様々なメリットが認められる市民農園について、県はどのように認識し、どのような取組みを考えているのか、また、都市地域における農地や山林など緑の保全について、どのような考えをもって、どのように取り組んでいくのか、知事のご所見をお伺いいたします。

 以上をもちまして、私の第一回目の質問を終わります。
 ご静聴、まことにありがとうございました。
(松沢 成文 知事答弁)
 最後に、市民農園と都市地域における農地や山林などの緑の保全についてお尋ねがございました。市民農園に関する議員のご高説を関心を持って聞かせていただきました。
 市民農園につきましては、そのメリットや方向性について、議員から様々なお話がございましたように、都市生活者の方々が、農作業や土と親しみながら、地域の人々との交流を深める場であるとともに、遊休農地の有効な利用方法の一つでもあると認識をしております。
 本県における市民農園の開設状況は、平成15年3月末現在の調査によりますと、農園数で519か所、面積では82haとなっており、5年前と比較いたしますと、農園数で16%、面積で31%増加し、都市住民の市民農園への期待の高さがうかがわれます。
 このように、市民農園が広がりを見せている背景としては、平成2年6月に市民農園整備促進法が施行され、施設の整った市民農園の開設が可能となったことがあり、県では、横浜市柴地区をはじめ23地区の市民農園整備への支援を行っているところでございます。
 さらに、平成15年4月に施行された構造改革特別区域法では、特区として実施できる特例措置の一つとして、NPOや企業が、市民農園を開設できることとなり、現在、小田原市では国の認定を受け、これまで、大人と子どもが交じり合って文化芸術活動や自然体験活動を行っているNPO法人が丘陵地の果樹園において、市民農園を開設する準備を進めていると聞いております。
 このような新しいタイプの市民農園が実施すれば、子供達が農作業活動を通じて周辺の自然とのふれあいを深めるなど幅広い活動が展開されるものと期待しております。
 なお、県といたしましては、遊休農地解消方策の一つとして、平成14年度から県独自の施策である中高年ホームファーマー事業を試行してまいりましたが、この事業は多くのファーマーの好評を得ており、また、農地の保全策としても大変有効であることから、平成16年度には、この事業を本格的に展開する予定でございます。
 また、都市地域の農地や山林などは、地域の方々にとって潤いや安らぎの場であるとともに防災空間としての役割を果たすなど、多面的な機能を発揮できる場であると承知しております。
 しかしながら、都市地域の農地や山林は、高度経済成長に伴う生活様式の変化や農業後継者の不足などから、十分な管理が行われなくなっているという状況にございます。
 一方、議員のお話にもありましたように、県民の生活に対する価値観の変化もあることから、県では、農地や山林や集落などが一体となった地域を里山として捉え、その保全・再生に向けて、農家や地域住民、NPOなどの県民と行政が協働して取り組む里山づくり推進事業を平成16年度から実施したいと考えております。
 県といたしましては、今後とも、市民農園整備への支援、中高年ホームファーマー事業の拡充、里山の保全への支援などに積極的に取り組むことによって、従来、主に農業生産活動により維持されてきました都市地域の農地や山林などの緑を、県民の参加を得ながら保全・再生してまいりたいと考えております。
(しきだ博昭 要望)
 各種の世論調査等の結果からも、様々な治安の悪化やあるいは犯罪に対する不安が示されております。このことを県民のみなさんと一緒にこうした危機感を共有していきながら、治安の回復に向けてご努力をいただきたいと思います。
 今後、先程来、ご答弁いただきましたあらゆる手だてを講じていきながら、各種、実効性のある施策の迅速な実施が必要であるということを申し上げておきたいと思います。 
 次に、学校における安全対策についてでありますが、治安の悪化などに対する不安感と相まって、とりわけ、これから卒業、入学シーズンを控えた保護者の方々の間に、不安感や心配があるというのも事実であろうと思います。
 こうした不安を解消していくことが、何よりも大切であり、また、子どもたちが安心して登下校でき、安心して学べる環境づくりが求められていることを、十分私たちも認識しなければいけません。また、県教育委員会におかれましても、文部科学省や各市町村教育委員会はもとより、警察やあるいは地域との連携についても十分ご留意をいただき、また、連携を深めながら安全確保に万全を期すことを重ねて求めておきたいと思います。
 なお、マニュアルの作成のみならず、実践的な、事態を想定しての取り組みであるとか、こうした訓練等についても、県教育委員会をあげて、また、各市町村教育委員会に指導、助言を徹底していただきたいということを求めておきたいと思います。

 3番目の市民農園と都市地域における緑の保全についてですが、先程来、私の質問の中でも申し上げましたとおり、次の時代を担っていく子どもたちの豊かで、新鮮な感性をこれからも育んでいく、また、自然を慈しみ、あらゆる生命の尊さをみつめる、そうした心を育んでいくために市民農園を積極的に整備をし、また有効に活用すべきであることを改めて指摘をさせていただきながら、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

神奈川県議会議員 敷田 博昭


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