| 平成15年9月定例会 |
〈学区改正案について〉 |
質 疑
これまで入学者選抜制度・学区検討協議会での議論や県民フォーラムが開催され、また、自民党としてもこれまでの本会議・常任委員会の質問・質疑を通して、学区の撤廃に向けた提言を行っているところである。ここで、最終段階を迎えるに当たり、これまでの検討経緯について伺いたい。
答 弁(高校教育課長)
学区については、昭和56年から16学区、平成2年から18学区と変遷してきたが、平成13年7月の地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、学区の設定は設置者の判断に委ねられることとなったことから、県立高校改革の進展・生徒の減少等を踏まえて、選択の幅がひろがるよう、学区のあり方を検討してきた。具体には、平成13年4月に入学者選抜制度・学区検討協議会を設置し選抜制度の一層の改善と学区のあり方を検討し、平成14年5月〜6月に県民フォーラムにおいて意見をいただくとともに、同年6月には中学生・保護者・教員等4900人に対しアンケート調査を実施。それらを踏まえて翌15年2月に「学区撤廃の方向で検討することが望ましい」との第2次報告を得たことから、7月には撤廃に向けた方針案を示し意見募集を行ってきてたところである。
質 疑
平成14年に実施したアンケートでは賛成意見が多かったと認識しているが、今回の意見としては反対が多いようだが、その理由は何か。
答 弁
今回の意見には反対が多い状況となっており、平成14年のアンケート調査結果はそれとは逆の結果であった。同アンケートでは、信頼出来る調査とすべく標本数等も適正に算出し、4904名を対象に実施したものであるが、学区を拡大又は撤廃すべきとの意見が、中学生77%保護者86.4%一般県民92.7%、学区撤廃との意見は中学生54%保護者52%一般県民65%という状況であった。一方の今回の意見であるが、これは、懸念される課題を示した上での撤廃という方針案に対する意見、それも対象を設定したものではないことから、こういった結果となったものと考える。
質 疑
受験競争の激化等の懸念ある中で、制度の大変革に伴う不安をどのように解消していくか。今後の方向性・見通しについて伺いたい。
答 弁
協議会の報告書にもあるように、序列化が進むということに対しては、選抜を前期・後期に分けるということで、また、受験競争の激化ということについては、特色づくりの強化ということでの対応を考えている。近隣への入学希望ということについては、通学可能地域の判断を踏まえた募集定員への配慮といったことでの対応を考えている。
要 望
幅広い選択肢の提供をお願いしたい。なお、良い意味での競争は必要と考えており、想定される懸念に対してはしっかりと配慮するようお願いする。
質 疑
平15年度には東京・和歌山で撤廃、16年度からは埼玉・福井で、17年度からは秋田でも撤廃と聞いているが、今年度実施した中での具体的効果、良い点・悪い点の把握状況はどうか。
答 弁
東京都は平成13年7月の都立高校学区制度検討委員会の最終答申受けているが、その際に懸念される課題として学校間格差や地域との連携の希薄化ということがあげられている。これらを踏まえ15年度入学者から実施しているが、受験者対象のアンケート調査では、廃止は良かったとするものが73.6%、進路選択の幅が広がったとするものが84.1%、中学校長を対象としたアンケートでは88.6%が廃止は良かったとし、進路指導がしやすくなったというものが79.6%となっている。平成13年度から周知に努めた結果、円滑に移行できたものと思われ、生徒たちは学校の特色・改革への努力・進学実績等により学校を選択しているとのことである。和歌山については、平成12年3月の答申では撤廃と維持の両論併記となっていたが、13年10月に撤廃方針を策定、15年度からの実施となっている。アンケート等は実施していないが、当初懸念された競争激化ということも逆に競争率が平均化したという結果となり、特に大きな混乱はなかったようである。
質 疑
(学区撤廃の)反対意見の中で受験競争の激化が懸念される、高校の序列化が進むとある。高校生としての生活を送る中で、基本的には受験ということも頭にあると思うが、このことについても切磋琢磨という言葉で良いのか。
答 弁
中学生も選抜という試験を通過してくるわけであるが、高校側としてはそれを受けて、そういう子どもたちを教育していくということであることから、特色の中にも進路を重視してやっていこうという学校もある。一方、そうではない形のものを特色としている学校等、様々あり、それら特色に応じて教育サービスは提供されると考える。結果として子どもたちが自らの希望に基づいた進路実現ができると理解している。
しきだ委員
質 疑
意見募集・議会での議論を経て今最終段階となっている。学区撤廃は県民ニーズに適合したものであると考えるが、その実現に向けた決意を伺いたい。
答 弁(教育部長)
これまで2年間にわてり議論してきたところであるが、その間、中学生・保護者・学校現場・一般県民等の意見や、議会における議論を踏まえ、県民ニーズに合ったものとして方針案を出した。反対意見は、方針案を定めた中でのものであり、学校現場での反対が多いようである。これについては、特色づくり・選抜制度改善・進路指導という3つのテーマを一体として進めることで不安解消につながると考える。学校現場としては中学生の視点で今まで以上に汗を流していく必要があると思う。
要 望
現場の不安をいかに解消していくか、特色づくりであるとか、選抜制度のさらなる改善、進路指導の徹底と充実といった三本柱に意を注ぐことに協力いただきたい。生徒・保護者、教育現場での担当の方々にも情報を広く公開していくと同時に、「生徒・保護者はお客様」という考えの中で、生徒の皆さんから学校を選んでいただく、先生はじめ、そういう意識をもっていだきたいと思う。また、色々な広報媒体を利用しながら、そういうサービスをぜひ提供していっていただきたいと思っている。議会と教育庁と現場の先生方一人ひとりが誇りに思えるような、そういう制度改正につながるようにしていただきたい。その努力をぜひ続けていただきたい。 |
〈特色づくりについて〉 |
質 疑
学区改正への対応としても、特色ある高校づくりということが言われ、一人ひとりの個性・進路希望等に応じるべく特色づくりを進めているとのことであるが、「特色」とはいかなるものであるか。
答 弁(高校教育課長)
各校が独自の考えに基づき努力して打ち出してもらうものであるが、すべての普通科高校において特色ある教育活動を一層展開し、多様な教育の提供を進めるというものである。多様な学習希望や進路希望に対応する学校づくり、興味・関心に応じた特色ある教育内容の充実、豊かな社会性や望ましい人間性を育むための多彩な教育活動の展開といった3つの視点をもって進めている。
質 疑
これまでの具体的な進め方はどうか。
答 弁
多様な学習希望や進路希望への対応としては、幅広い科目の設置や特定分野に重点を置いた教育課程の編成、興味・関心に応じた特色ある教育内容の充実としては、国際・情報・福祉・環境等をテーマとして設定した教育活動の展開、豊かな社会性や望ましい人間性を育むための多彩な教育活動の展開としては、地域の特性を生かした教育展開、学校行事・部活動の充実、ボランティア活動の推進等の取組を進めている。
質 疑
県内調査で柏陽高校の視察をしたが、ここもその一例だと思うし、地元の新栄高校でもボランティア活動に取り組むとともに福祉教育への取組も行っているようであるが、同校の具体的取組状況について伺いたい。
答 弁
同校は部活動の活躍が知られているところであるが、特色づくりに関しては、高校改革が進むまではなかなか進展しない状況にあった。しかしながら、平成14年度までには、情報科学・応用情報科学・福祉入門といった科目の設置、国際理解講演会の実施、近隣のドイツ学園や地域ケアセンターとの交流活動を行っている。また、基礎学力定着をはかるための取組も行われている。
質 疑
特色を各校が出し、色々な選択の幅が広がることによって、学校間でも競争ができるであろうし、県内全域から、色々な選択肢の中から選んでいける、こういった支援体制をさらに協力に進めていただきたい。
なお、住所地の近くにある学校以外については、情報提供が大切である。迅速かつ丁寧に保護者・生徒が望む情報を徹底的に提供すべきと考えるがどうか。
答 弁
学校側では努力を行っているが、生徒・保護者に伝わらなくては意味がなく、これまでも説明会・授業見学等を実施するなど広報活動に努めている。また、特色を紹介した冊子やインターネットのホームページの充実も図りたい。さらには一度に多くの学校の情報を伝えられるような説明会も実施していきたいと考えている。
要 望
情報が氾濫している時代でもあり、周知も大切であるが、良い情報も悪い情報も迅速に広がっていくと思うので、切磋琢磨しながら、より充実したものを求めて努力を願う。
当然、新しい取組をすることについては、予算・費用もかかることであり、財政状況もふまえながら、より効果的支援体制をこれからも願う。 |
〈障害児教育について〉 |
質 疑
障害児教育については、その対象となる子どもたちの数は、いわゆる普通教育を受ける子どもたちの数と比べれば少ないが、学校教育卒業後に、障害がありながら社会の中で生きていくことや、その保護者の方々のご苦労を考えれば、公教育として極めて大切であり、より手厚い教育が必要であると考えている。そこで、障害児教育について何点か伺いたい。
15年度の一般会計9月補正予算案として、県立鶴見養護学校の増築があげられている。緊急課題ということであったが、増築を行わなければならない理由は何か。
答 弁(障害児教育課長)
ここ数年、県内の養護学校への入学希望者が急増しているが、特に、鶴見区、港北区、都筑区、青葉区、緑区、神奈川区といった横浜市の東部・北部地域の知的障害児の増加が顕著である。この地域の知的障害児については、県立みどり養護学校と鶴見養護学校で学校教育を実施しているが、みどり養護学校はすでに一杯の状態であり、鶴見養護学校についても、平成11年度に129人在籍していた児童生徒が、15年度には199人となり、急増が続いている。さらに、この地域について、横浜市教育委員会とともに、来年度の入学希望者の把握したところ、小・中・高等部を合わせ約70名以上という大幅な増加が予定されている。そこで、この地域への対応の一つとして、鶴見養護学校への40〜50人程度収容の10教室の増築をお願いした次第である。なお、みどり養護学校については、敷地内に文化財包蔵地があり、増築ができないという状況がある。
質 疑
鶴見養護学校への増築を緊急に実施しなければならない理由はわかったが、養護学校への入学希望者が増加している理由は何なのか。
答 弁
この地域だけを捉えると、港北ニュータウン等の人口増の要因が生じているが、増加は全国的な傾向である。肢体不自由児については、重度障害児が微増しているが、これは医学の進歩により、出産の際に重い障害を残しながらも、生命を長らえたということがその理由かと思われる。しかし、増加の顕著な知的障害児については、児童青年精神科等の専門医に確認しても、疫学的な証明ができないということで、その理由はわかっていない。そのため、今後どうなるのかわからず困っているところであるが、はっきりしていることは、同年齢の子どもの中で、障害児の割合が、以前より高くなっていることである。
質 疑
理由がわからなくても生徒は増えており、それに対する配慮は必要である。一方、障害のある方々を町で多く見かけるようになっており、学校の中でも通常の学級の中で学習させたい、家族の中にもそう考えている方がいるのではないかと思う。そういう保護者の願いを就学指導委員会や教育委員会ではどう捉え、どう考えているのか。
答 弁
就学指導については、市町村教委が子どもの状況を基に適切な教育先を認定しているが、この中では保護者の意向を最優先している。そうした中、かつては「統合教育」ということで通常の学級を選択される保護者が多かったが、現状は、より「専門的な教育」を受けたいと、小・中学校の特殊学級や盲・聾・養護学校を選択される保護者の方々が圧倒的に多くなっている。教育委員会では、こうした中、ほとんど障害のない子ども、通常の学級の中で十分指導が可能な子どもについては、保護者に対し通常の学級で指導を受けるよう指導・お願いしているといった現状である。
質 疑
説明のように保護者が養護学校を選んでいるとすれば、今後の課題として、今まで以上に、養護学校教育について、その内容の充実、スクールバス等保護者の利便性が問われるのではないかと考えるが、こうした点についてどのように考えているのか。
答 弁
保護者の方々がより「専門的な教育」を受けることを期待して、養護学校へ入れているわけであることから、養護学校としては、当然、こうした保護者の「思い」や「願い」を大切にした指導を行う必要があろうかと考えている。障害児教育の基本は、一人ひとりの障害の状態等に応じて、その子どもにあった指導を行うことだと考えており、一人ひとりについて「個別教育計画」を編成して指導にあたるようにさせているが、こうした個別教育計画の作成・活用をより緻密なものにさせていきたいと考えている。また、実際の指導に当たっては、小学部の段階から、高等部卒業後にその子どもが、その子なりに社会の中で生き生きと生活できる力が育つよう、卒業後の姿に視点を定めた指導が行われるよう努めており、こうした指導をより一層進めてまいりたい。さらに、利便性の向上については、スクールバス運営の工夫、充実を図ってまいりたいと考えている。
質 疑
養護学校における教育の充実に向けては、ぜひ一層の努力をお願いしたい。
こうした養護学校への入学希望者の急増の中、横浜市域については鶴見養護学校の増築だけでは、間に合わないのではないかと考えるが、来年の4月に向け、他にどのような対応策をとろうと考えているのか。具体的に説明してほしい。
答 弁
横浜市内で児童生徒の増加が顕著であることから、来年4月に向け、都筑区における県立高校、青葉区内の小学校、さらに、戸塚区の県立高校に養護学校の分教室を設置する予定である。なお、青葉区内の横浜市立小学校に設置する養護学校の分教室は、18年度に開校が予定されている川崎北部方面養護学校開校後は、この養護学校に吸収したいと考えている。さらに、横浜市教育委員会とも協議して、三ツ境駅の近くにある、現在は病弱養護学校の横浜市立二ツ橋養護学校に、知的障害養護学校である横浜市立高等養護学校の分教室を設置してもらうこととなっているなど、こうした様々な対応で乗り切ってまいりたいと考えている。
要 望
具体化しているとのことであり、一層力を入れていただきたい。映画「もも子」に感銘を受けたところであるが、この話は、養護学校に通う双子の兄妹の妹もも子が兄の小学校との交流で様々な体験をする中で、皆が成長していく話である。今回の分教室は、児童生徒増加への対策として始まるわけであるが、そこでは「もも子」のような交流が図られるであろうし、一般児童・生徒の障害児への理解・思いやりといった面での効果もあると思われる。積極的な取組をお願いしたい。
質 疑
養護学校への入学希望者の増加という課題は、横浜市内だけの課題ではなく、全県的な課題だと思うが、他の地域では対策を組まなくとも大丈夫なのか心配である。他の地域ではどのような対応をするのか。
答 弁
養護学校への入学希望者の増加は、横浜市だけでなく全県的な課題である。特に、県央地域の伊勢原養護学校への入学希望者の増加が課題となっていることから、肢体不自由養護学校である平塚養護学校に、小・中・高等部ともに知的障害教育部門を設置し、現在、伊勢原養護学校の通学区域となっている秦野市を中心に、周辺地域の知的障害児を平塚養護学校で受けることとしている。その他の小田原地域等については、来年4月の児童生徒の入学状況を見た上で、改めて対応していきたいと考えいる。
質 疑
横浜市内の対応を整理してもう一度説明願いたい。また、将来的にも養護学校への入学希望者は増加し続けるのではないかと考えるが、こうしたことについて、どのように予測し、またその対応策をどのように考えているのか。
答 弁
横浜市内の当面の対応としては、鶴見養護学校の増築、県立高校への分教室2校、市立小学校の分教室1校と市立二ツ橋養護学校の分教室を設置する。さらには、市立日野養護学校移転に伴う旧校舎の空教室への生徒受け入れ等で対応していく予定である。また、川崎市麻生区に川崎北部方面養護学校を、横浜市金沢区に横浜南部方面養護学校の早期開校を目指して取り組んでいるところであり、今後も市教育委員会と協力して進めていきたい。
質 疑
横浜市北部への設置計画はどうか。
答 弁
増加予測が立てば市と協力して検討していきたいと考えるが、養護学校への入学希望者の増加原因が明確になっていないことから将来予測が難しい。しかしながら、この課題は、本県だけの課題ではなく全国的なものであることから、文部科学省に対し厚生労働省とともに、原因究明にあたるよう、強く要望いたしているところである。
しきだ委員
要 望
県教育委員会として、積極的に障害児教育に取り組むという力強い話うれしく思う。原因究明に向け、国や市町村と連携しながら、研究機関を通じて原因究明に努力してほしい。教育委員会として国へ働きかけ、障害児教育の先進県として、内容の濃い、かつ迅速な対応を行う努力を願う。 |
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神奈川県議会議員
しきだ博昭 |